【高校サッカー選手権】逆転弾でチームの勝利に貢献 成城学園MF大重宙之「西が丘に行くのが僕の夢」
第103回全国高校サッカー選手権東京予選Aブロック2回戦が行われ、成城学園が創価に2-1で逆転勝利を収め3回戦進出を決めた。 【フォトギャラリー】創価 vs 成城学園 試合前のイレブンショット、緊張するチームメイトを明るく元気に盛り上げようとするMF8大重宙之。そんな姿がその瞬間、妙に気になったのは偶然ではなかった。 「雰囲気をちょっと良くしようかなと思ったんですけど、最初に決められちゃって、ミスったなって心の中で思ったんですけど勝ってほんとに良かったです(笑)」 開始1分に相手のエースFW9矢田英一にセットプレーから失点を喫し、いきなりビハインドを背負った成城学園。 「出だしで取られて、チームがちょっと何かふわっとしていて、でもすぐに7番の成川(昊希)君が決めてくれました。ただ、その後も押し込まれて、ちょっとヤバいなと思ってました」 失点で再び火がついた創価に次々と攻撃を繰り出され成城学園にとって苦しい時間帯が続く。しかし、ここで大重の『一瞬のひらめき』から生まれたゴールで流れは成城学園に傾く。 「ここで何とかしなきゃいけないなと思って、何か一瞬のひらめきというか、何かそういう感じで行ったらボールが来て、あの瞬間だけ冷静だったって感じです」 その一瞬のひらめきとは....。 「10番の近藤祐成君からボールが来て、 自分が1対1の場面で抜こうとしたんですけど創価は僕らにとっては格上なんで無理だなと思って1回下げ、どう行こうかなと思ったら、何故かサイドバックとボランチの間が空いていて、これ行けるなと思ったんです。そうしたら、そこにボールが流れてきて、相手のCBは自分がシュートを打つと思ってスライディングしてきたので、ダブルタッチで決めるだけでした」 わずか数秒の間で、大重には色々な景色が見え、様々な考えが浮かんでいたようだ。 かくしてゲームをひっくり返した成城学園。後半はハーフタイムの監督の指示に見違えるように変貌を遂げ、創価の攻撃に対応する。それでも走らされることには変わりはなく、疲労はピークに達していた。 「チーム的にはバック陣が安定しいて、そこでバック陣とキャプテンのアレックス(大澤アレキサンダー開)君が弾き返すのを拾うっていうのを目標にしたんですが、相手のセカンドボール回収率が結構高かったんで、厳しかったです。今までで一番走ったって思うぐらい走ってたので、残りあと10分ぐらいの時に両足を攣りそうになったのですが、ここを守りきれないと3年生も引退しちゃうっていう気持ちが強かったんで、死ぬ気で走りました」 そしてタイムアップを告げるホイッスル。負けられない気持ちが、チームに勝利をもたらした。 大重は「まずはチームが目標としてるベスト16を突破して、次はインターハイで負けた多摩大目黒にリベンジしたいと思っています。もちろん自分自身も活躍したいです。西が丘に行くのが僕の夢なので、必ずそこに行きたいと思います」と、この先の目標を掲げ、笑顔でチームの輪に戻っていった。 (文・写真=西山和広)