「夢中になる時間と競技は人生の一部という大きな視点、両方を持ってほしい」為末さんが語るセカンドキャリア クライミング協会会長と対談
▽「五輪競技でなくなっても、何かを目指せる文化をつくっていく」 ―現役選手を見て、為末さんが感じることは。 為末「今の選手たちはやっぱり自立してる気がしますよね。陸上だと北口榛花さんがチェコに1人で行ってコーチを見つけて、トレーニングをして世界一になった。僕らの世代だとあまりなかったような例が出てきて、素晴らしいなと思います。私は本当に競技一本で来て、いろんな出会いがなければそれだけになっていた可能性は結構あった人生だったですね」 ―ビジネススクールに対する丸さんの評価は。 丸「スピード競技で活躍する18歳の林かりん選手がパソコンソフトの資格を取得しました。20時間以上も集中的に勉強したらしく、彼女らの集中力って普通じゃないんですよ。徹底的にやって、そういう機会を得られたのは一つの成果かなと。スクールも3年目に入るので次のステップが必要で、新たな出会いを考えていかないといけないと思っています」 ―クライミング界に対する為末さんの印象は。
為末「すごく世界的な競技という印象があります。正直、国内より海外の方が盛り上がっている競技なのかなという気がします。そのことがキャラクターとして出てくるといいなと。国際的な競技として選手たちの発言がすごく評価されて(ビジネススクールの)卒業生のブランドができると面白いですね」 ―国内でもっと盛り上がれば、競技団体の底上げにつながる。丸さんの組織強化への考えとは。 丸「マイナー競技が五輪競技になりましたけど、いつまでも続くわけじゃないんですよ。五輪競技じゃなくなった時に、目指していた選手はどうなっちゃうか。お金が無くなり、露出も減る。それではいけない。選手が人生を傾けたことによる成果を残したいし、何かを目指せる文化をつくっていかないといけないというのはありますね」 ▽「日本のスポーツは縦長の三角形。競技の壁を外して好きなことをさせる」 ―元選手の立場から、為末さんが考える国内競技団体の理想像とは。