「日本の家は明るすぎる」リノベをしなくても実は住まいが激変する〈行正り香・照明の選び方〉
人生を変えるリノベーションーー行正り香さんによる[リノベ指南本]誕生!
子育ても仕事もちょっと落ち着いて、これからの人生を考え始めた世代。 マンションでも戸建てでも、現在の家を見直すタイミングがきた世代。 そんな40代以降の世代に向けた、住まいと暮らしを見直す[リノベーション本]を行正り香さんが上梓しました。 【写真】40代以上、成功する大人のリノベって? 行正り香さんのアドバイス実例を見る 従来のリノベーションを説いた本というと、水回りを刷新する、手すりの設置など安全面を補強する、といった機能にばかりフォーカスしがちでした。 ・より広く明るく見える〈家具の配置〉とは? ・どこに影を作るか?〈照明プランの考え方〉 ・〈模様替え〉でも家は変わる ・理想を叶えるための〈予算設計〉の新しい考え方 ・家は自分の個性を加えて完成する 機能とデザインとの両立、居心地のよさにプライオリティを置いた考え方を強く打ち出しているのが本書『人生を変えるリノベーション』の特徴となっています。 特に強く訴えたいのが照明の選び方です。 照明というと、空間をどう明るく照らすかということにばかりフォーカスされがちですが、大事なのはむしろ「どう影を作るか」。影が重要となるのは、照明によって生じる影自体が空間に奥行きとコントラストを与え、見せたいもの、見せたくないものを振り分けていくからです。 とはいえ、過度に影が多い空間は圧迫感を感じたり、部屋の目的に合わない場合もあるので、その空間に応じて考える必要はあります。キッチンのような場所では、手元の作業のためにある程度の光量が必要ですし、一方、リビングやダイニングは、ソフトな影を作り出すことでリラックスできる雰囲気を作り出すことができます。 リノベーションをするときの照明計画で難しいのは、あらかじめどこに照明器具を設置するかを確定しなくてはならないということです。天井や壁の変更を伴うリノベーションの場合、最初に行うのは電気工事だからです。どこにどんな家具を置くか、どこに絵画をかけるか、そしてどこにペンダントライトを吊るすか、コンセントをどこに設置するか…… 照明計画は、光の強さ、方向、色温度、そして影の形を考慮して行います。 どんなに素敵な場所でも、陰影のない照明デザインではつまらない空間になってしまいます。調光を取り入れ、陰影のある照明デザインを行えば、そこは雰囲気のある空間へと変化します。「影が光をデザインする」ということを意識して考えましょう。
天井から吊るすペンダントライト、壁に配線するウォールランプ、絵画を照らしたり、廊下に雰囲気を作ったりするダウンライトの位置も、すべて空間の雰囲気に関わります。まずは自分にとって「理想の照明」をデザインしているレストランやホテルなどの商業施設を見つけて、どのような照明器具をどの位置に配置しているか、足を運んで観察してみましょう。 文/行正り香 撮影/結城剛太
行正 り香