自分の価値に自信がない人に共通する「悪いくせ」、ほめられたときは素直に受け止めることが大切
そう思うと自信がなさすぎるのも考えものですが、なかなかあのメンタルは真似できるものではありません。 自信を持とうとか、素直になろうとか、自分の心や感情を変えようとしてもうまくいきません。「自分はすごいんだと思え」と言われたって無理ですよね。ですからまずは、自分の「価値」というふうに客観視して、「誰と」という他者との関係性に目を向けてみましょう。 ■自分を素直に価値化できる人が返すひと言 謙虚なのはいいことでも、そればかりだと謙虚ぐせがついて、どんどん自分を過小評価してしまいがちです。かといって自信満々に振る舞うのは難しいし、他人に自信過剰と思われるのも嫌です。そんなときには、フラットに自分の価値を受け止める練習をしましょう。嫌味なくそれができている人は、ほめられたときにこう返します。
「ありがとうございます」 「嬉しいです」 私はこれを聞いたときに、自分を卑下するわけでもなく、かといって自慢げでもなく、とても健全な心の持ち方だと感じました。 自分に向けられた悪口は率直に受け入れなくてはなりませんが、ほめられたことを素直に受け止めることも、同じくらい大事なことです。 それがないと、ジョハリの窓(「自分から見た自分」と「他者から見た自分」の情報を切り分ける心理学モデルの1つ)でいう「盲点の窓(相手は知っているが、自分は気付いていない領域)」は開いていかないので、自己理解が止まってしまいます。そして自分の思い込みだけで、自分の可能性に蓋をしてしまうことにもなります。
日本人は空気を読むのが得意なので、日本の社会では波風を立てない対応が無難です。自分を下げておくというのは、まさに無難なコミュニケーションのコツです。でも、過剰に自分を下げなくても、「ありがとう」や「嬉しい」と表現することで、波風立てずに対応することができるのです。 ちょっとしたことかもしれませんが、自分に向けられた評価を頭から否定しない習慣というのはとても大事です。意識して素直に受け止める練習をしておくと、自然と自分の価値を信じられるようになるのではないでしょうか。
有山 徹 :一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事