【セルフメディケーション税制】友人は「市販薬で済ます派」です。病院なら薬も安いのに。市販薬はかえって高くつくのではないでしょうか。
薬の購入について、「病院で処方されるほうが薬局で購入するよりも安いのでは?」と思う方は多いかもしれません。しかし、病院では診察代などもかかるため、総合的に考えると市販薬を購入したほうが経済的にお得な場合もあります。 本記事では、市販薬と病院の薬の価格の違いや、市販薬の役割、市販薬が対象となる税制について解説しますので、参考にしてください。
市販薬と病院の薬(医療用医薬品)の価格の違い
市販薬と病院の薬は、価格の決まり方に違いがあります。 ドラッグストアなどで販売される市販薬(OTC)の価格は、企業が自由に設定可能です。そのため、風邪薬などでも種類や企業によって価格に差が生じることがあります。一方、病院で処方される医療用医薬品の価格は、国が決定する公定価格です。 薬の負担額だけを見ると医療用医薬品のほうが安い場合もありますが、医療用医薬品を受け取るには医師の処方箋が必要なため、市販薬を購入したほうが総合的な医療費が安くなることもあります。
市販薬の役割
市販薬は、ドラッグストアや薬局で、薬剤師などのアドバイスを参考にしながら自分の判断で購入できます。 成分の含有量など安全性に配慮されており、誰にでも使いやすいように効能・効果や使用方法が外箱や説明書に記載されています。そのため、自分の症状に合わせて、比較的手軽に入手できるのが特徴です。医療用医薬品と異なり、処方箋を必要とせずに購入でき、症状を和らげたり治療したりできます。
セルフメディケーション税制とは
病気やけがにかかった医療費は、確定申告することで「医療費控除」が受けられます。医療費控除は、1月1日~12月31日までの1年間に支払った自分や生計を一とする親族の医療費が10万円を超えた場合に適用される、所得控除制度のひとつです。 セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例です。スイッチOTC医薬品を購入する場合、セルフメディケーション税制の対象となる可能性があります。スイッチOTC医薬品には、風邪薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬などがあります。 この税制の適用を受けると、所得税や住民税の負担が軽減されることがあります。特に市販薬を購入する機会が多い方にとって、押さえておくべき特例です。 本項では、セルフメディケーション税制の内容や対象などについて見ていきましょう。 ■セルフメディケーション税制の概要 セルフメディケーション税制では、本人や生計を一とする家族が市販薬を1年間に購入した額が1万2000円を超えた場合に、超過分が課税所得から控除されます(上限8万8000円)。 その結果、所得税の一部が還付されたり、住民税が軽減されたりする可能性があります。市販薬を頻繁に購入する方や購入額が大きい方は、セルフメディケーション税制を活用することで税負担を軽減することが可能です。 なお、セルフメディケーション税制の適用を受けられる人は、健康の保持増進および疾病の予防への取組(一定の取組)を行う個人です。確定申告で健康診断の結果などの提出は不要ですが、確定申告から5年間は明細書などを保管しておきましょう。 ■セルフメディケーション税制の対象となる市販薬 セルフメディケーション税制の対象品目は、非常に多くあります。厚生労働省が2024年7月に公表したデータ「セルフメディケーション税制対象品目一覧」によると、スイッチOTCの対象品目は約2800、非スイッチOTCの対象品目は約4200です。※スイッチOTC:医療用医薬品のなかで安全性の高いものを市販薬として転用(スイッチ)したもの。 セルフメディケーション税制の対象となる製品には、「セルフメディケーション税控除対象」というマークが表示されています。なお、セルフメディケーション税制の適用を受けるには、確定申告が必要です。