滋賀・竹生島、開山1300年 長浜城歴史博物館で企画展 信仰の歴史ひもとく
奈良時代の神亀(じんき)元(724)年に行基(ぎょうき)が開いたと伝わる滋賀県長浜市の竹生(ちくぶ)島宝厳寺(ほうごんじ)が、今年で開山1300年を迎えた。これを記念し、長浜城歴史博物館(同市公園町)は宝厳寺の寺宝を中心に信仰の歴史をひもとく企画展「聖地・竹生島の歴史と信仰-戦国武将から江戸時代の参拝ブーム-」を開催している。6月9日まで。 【写真】竹生島の歴史を記した「竹生島縁起」 琵琶湖に浮かぶ竹生島は、水の女神・弁才天の聖地で西国三十三所としても信仰を集め、宝厳寺に伝わる3100点を超す文書群「竹生島文書」のうち312点は国の重要文化財に指定されている。 企画展ではこのうち、「足利尊氏地頭職(じとうしき)寄進状」(1345年)や「織田信長朱印状」(1573年)、「豊臣秀吉朱印状」(1591年)などを公開。島の歴史を記した中世の「竹生島縁起」には、地主神である浅井姫命(あざいひめのみこと)が湖水に潜り島ができ、潜る際の音から「都布夫嶋(つふふしま)」と呼んだが、竹やぶが生えたため竹生島の字を当てた―とする由来が書かれている。 竹生島に訪れた修験道の祖、役行者(えんのぎょうじゃ)のもとに弁才天が現れたとの伝承にちなんだ「役行者像」や「弁才天像」(いずれも室町時代)は、中世の信仰をよく伝えている。 かつては遠方から竹生島を参拝するのが困難だったため、島の宝物を江戸や大阪など各地で公開する「出開帳」が行われた。 寛政2(1790)年に京都で行われた出開帳の史料で、祈禱(きとう)に用いる天皇の衣服とみられる「御撫物(おなでもの)」を賜った旨を記した文書など、江戸時代の信仰を伝える史料も見応えがある。 坂口泰章学芸員は「多くの人々をひきつけてきた竹生島の歴史と信仰を感じてほしい」と話している。 入館料は大人410円、小中学生200円。月曜休館。問い合わせは博物館(0749・63・4611)。 ■弁才天ルーツ・インドの総領事も訪問 弁才天信仰はインドにルーツがあることから、在大阪・神戸インド総領事館のニキレーシュ・ギリ総領事が16日、開山1300年を祝福するため竹生島宝厳寺を訪れた。