「テレビ芸能人になったぼくは死んだ」。でも新しいお客さんを身近に感じることも

――“嫌われ過去”があれど、いまも人気があります。自分のイメージは変わりましたか？ 品川：　ぼくにはもう、パブリックイメージなんかないでしょう。世間からそれほど相手にされてない。だから、もはや芸能人じゃないんじゃないかとさえ思います。「昔に比べると丸くなった」って言われますけど、そんなきれいな表現じゃなくて、「一回テレビ芸能人になったぼくは死んだ」と思っていますね（苦笑）。 昔から応援してくれる人もいるけど、ぼくの映画を見てくれる方や、Twitterをフォローしてくれる方、YouTubeを見てくれている方、そんな新しいお客さんを最近特に身近に感じますね。もしも慕われているとすれば、自虐や毒舌をする下町の兄ちゃんという印象なのかなあ。前のめりすぎて嫌われていた頃からは、実際、年を取って変わった。優しくなったんじゃなくて、単純に老けた。老いですよ、老い（笑）。 そして、テレビは大好きだけどいつまでもテレビに出られるとは限らない。「品川、テレビから消えた」とネットで書かれても、芸人あるいは別の肩書で、テレビ以外で活躍することは可能ですよね。それに心のどこかに、テレビで売れなくてもどこかで勝負するぞという反骨心は残っていますし…。いまはね、駆け出しのときに構えていた「天下取りたい」というのとはまったく違う心境です。自分が好きなことはなんだろうと考えたら、ものを作ることとしゃべること。前者は小説や映画。後者は生きていればどこでもしゃべれる。だったらおしゃべりで飯が食えれば最高ですよね。YouTubeだろうが、インタビューだろうが、相手が1人だろうが、ぼくがしゃべって相手が笑えば、それで満足できる。 以前は、すべて売れるためにやっていたから、当然鼻についたと思うんですけど、いまは売れるとか儲かるとかよりも、自分が好きなことを優先しています。結果的にそれで少しでもお金が入ってくれば、それ以上望むことはないという発想。だから自分も、関わってくれているみんなもスッキリするし納得できる。あと、ぼくを嫌いになって離れていった人を追いかけるんじゃなくて、残ってくれた人を大切にする。それが“嫌われ過去”から学んだ教訓ですね。