『グラディエーター』から24年…ルッシラ役続投でコニー・ニールセンが込めた思い
リドリー・スコット監督は通常、演技のリハーサルは行わないため、役について話し合いたいことがあれば撮影前に彼のところに行かなければならない。「だから、わたしがいつも朝一番にやっていたのは、彼のトレーラーのドアの前に立つことだった。ポール(・メスカル)が次に待っていたりしてね(笑)。みんな自分のキャラクターについて話すのに準備万端だった」
「いろいろアイデアを伝えると、彼は『イエス、ノー、ノー、イエス』みたいに答えてくれる。『ノー』と言われるのもまた、いいことなの。だって、わたしたちのアイデアは、いつも良いものであるわけではないから。わたしたちには、ただアイデアがあるというだけ。でもそれが、彼が求めていること。彼は、俳優たちに全てのアイデアを持って来てほしいと思っている。そして、彼は悪いアイデアを取り除く手助けをしてくれるの(笑)」
ビジュアルでの表現に長けているスコット監督の撮影現場では、さまざまな気付きがあったという。「セットにいると、彼が持ち込んだニュアンスや肌触りを感じることができた。例えばコロセウム(円形闘技場)に入るシーンでも、彼が何百ものホームレスの人々を通りに配置している。彼はビジュアルで、この社会は20年前とは違っているということを見せていた。混乱していて、無秩序で、貧困と不正がはびこっている。そのにおいをかぐことができるくらい。火が燃えていて、建物もちょっと汚く下品になっている。彼は言葉でそれを示したりしないけれど、観客はそれを見て、その状況を知る。説明されるのではなく、体感するの」
苦難の日々を送ってきたルッシラだが、愛も見つけた。「彼女が人生で初めて愛されているのを見ることができる。彼女を生かすためなら何でもする男性に愛されている」というそのお相手は、夫である将軍のアカシウス(ペドロ・パスカル)だ。 「わたしの撮影初日は、夫が帰ってくるシーンだった。もともとは、彼女が彼に駆け寄り『おなかすきましたか?』と言うような、主婦と仕事帰りの夫のシーンという感じだったから、リドリーに『ちょっと薄っぺらくないですか?』と言って、デンマークでのボノ(U2)とのちょっとしたパーティーでのことを話したの。彼の妻がちょうど到着したんだけど、二人は数週間会っていなかったにもかかわらず、彼女は向こう側にとどまっている。そうしたら、わたしと一緒に座って話していたボノが『彼女、僕の気を引いている?』って(笑)」