【阪神JF】アルマヴェローチェV 岩田望はJRA・G1初制覇 6年目でついに掴んだ「やっと勝てたなという気持ち」
「阪神JF・G1」(8日、京都) 5番人気のアルマヴェローチェが直線で力強く差し切って重賞初制覇。見事に2歳女王の座に輝いた。鞍上の岩田望来騎手(24)=栗東・フリー=はJRA・G1騎乗61度目で待望の初勝利。2着には8番人気のビップデイジー、3着には7番人気のテリオスララが入り、3連単22万7500円の波乱の結果となった。1番人気のブラウンラチェットは16着に終わった。 昼過ぎから続いた雨がすっかり上がり、雲の合間から心地よい夕日が差し込むゴール前。先頭を走る人馬を阻むものは、もう何もなかった。「ゴール直前まで必死に追っていて分からなかったです。だけど、右を見たら誰もいなかった」。馬場の外めからアルマヴェローチェを、2歳女王へエスコートした岩田望は勝利を確信しガッツポーズ。憧れたG1ジョッキーの仲間入りを果たした。 父・康誠の背中を追ってジョッキーの道に踏み入れた。デビューから6年目。最高峰G1での騎乗は61度目だった。冬の寒さも吹き飛ばす待望の瞬間に、「最高ですね。6年間ずっと悔しい思いをしてきた。やったという気持ちと、やっと勝てたなという気持ちです」と顔を紅潮させて、喜びをかみしめた。 デビューから毎年勝ち星を増やし続け、一昨年、昨年には年間100勝を達成。早くから若手の筆頭格として頭角を現すも、G1を勝てない日々が続いた。同期の菅原明、団野はひとあし先に手にしていただけに「悔しかった」と漏らすが、「それに刺激を受けましたし、反対にこちらも刺激を与えてもいる部分もあると思います」と腐らずに切磋琢磨してきた。今年は渡仏して武者修行を敢行。騎手としてひと回り大きくなった自負もあった。 「思い切って乗れ」。元騎手の上村師はレース前、その言葉だけで送り出した。期待に応えたかった岩田望は「後ろから行ったらやられる」と、五分のスタートから中団馬群の中でなだめて位置をキープ。「追いだしてからの脚がすごかったです」。強烈な末脚を発揮した相棒をたたえた。 もともとオークス向きと考えていただけに、マイルをこなせたのは今後へ向けて大きな収穫。前哨戦を挟むかは未定だが、当然次は桜花賞が本命だ。「春に向けてこれから成長してくれると思う」と指揮官が期待を込めれば、岩田望も「クラシックを総なめにするぐらいの成長をしてほしい」と熱く語る。伸びしろ大きい人馬の2025年は希望に満ちている。