<前人未到に挑む・東海大福岡「支える人」>/中 マネジャーたちの思い 選手鼓舞「まず初戦突破を」 /福岡
2年生中心のメンバーでセンバツ出場をつかみ取った東海大福岡ナイン。その躍進には同学年のマネジャー、内田芽沙(めいさ)さん(17)と茂藤(もとう)瑠奈さん(17)の支えがある。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 内田さんは元高校球児の父浄(きよし)さん(45)とプロ野球観戦をし、野球に興味を持った。中学時代に熱中したバドミントンは県大会出場に手が届かず悔しかったが、高校進学後は野球部のマネジャーに挑戦してみたいという思いを抱く一方、「高校野球に自分の青春をささげるべきか迷った」。 新入生向けの体験入部があった2022年4月、内田さんが茂藤さんとグラウンドの草むしりをしながら、「入部するか迷っている。もし入部しないでマネジャーが一人だけだったらごめん」と打ち明けると、茂藤さんは「自分がしたいようにしたら」と答えた。迷いも肯定してくれたと感じた内田さんは入部しなかったが、4階にあった教室から野球部の練習をよく眺めていたという。選手たちが声を出しながら足並みをそろえて走る姿に「かっこいいな」と再び入部したいという思いが高まった。そんな時、同級生の堀辺大輝選手(17)から「やっぱり入らない?」と誘われ、4カ月後の同年8月に入部した。 茂藤さんもマネジャーは初めてだったが、毎日のように兄瑠衣斗さん(24)の少年野球を応援に行ったり、時間があるとキャッチボールをしたりする野球好きの家族に囲まれて育ち、中学3年の頃には「高校では野球部のマネジャーになろう」と決めていた。入部後は先輩マネジャーの献身的な姿にも憧れた。 内田さんは入部後も4カ月分の遅れを取り戻そうと焦り「マネジャーとしての行動や部員との関わり方も分からなかった」。それでも1年生大会が終わる22年秋までに仕事を覚えられたのは、スコアの書き方から教えてくれた茂藤さんのおかげだ。 そして23年秋、優勝した福岡大会、九州地区大会ではベンチから大声で選手を鼓舞する内田さんの姿があった。「できるよ」「自信持って」「気持ちを切り替えて」。その声は強豪に全員野球で挑む選手たちを奮い立たせ、大会後、選手たちから「かけ声が聞こえた。ありがとう」と感謝され、改めてマネジャーの楽しさを知った。 2人は「チームのみんなの明るさに支えられている」と口をそろえる。「調子が悪くても努力を重ねた選手が、試合で成果を出すとうれしい」(内田さん)、「内田さんが入部してくれて、2人で甲子園に行けるのがうれしい」(茂藤さん)。 約3週間後に開幕する甲子園では、2人でベンチに入りたいけど記録員は1人。「選手たちが一番分かっていると思うから」と、2人とも普段は言葉にしないが、「まずは初戦を突破してほしい」と願う。【長岡健太郎】 〔福岡都市圏版〕