フレグランスブランド、フローリス エリザベス女王も愛用していた「香りの芸術品」の魅力
■ナイチンゲール、チャーチルも顧客リストに
歴代の顧客台帳には、英王室メンバーのほか、近代看護の礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールやウィンストン・チャーチル元英首相、作家のオスカー・ワイルド、マリリン・モンローら著名人の名前も。台帳には、彼らが注文・購入したフレグランスの種類や年月日などが記されている。 著名人の愛用で一躍有名となったフレグランスといえば、「オードトワレ No 89」だろう。作家イアン・フレミングが1955年に出版した小説『007/ムーンレイカー』の中で、主人公ジェームズ・ボンドが愛する香りとして「No 89」を紹介。 本店の住所「ジャーミンストリート89番地」に由来するその香りは、オレンジとベルガモットのシトラスノートと、サンダルウッドに代表されるウッディノートがベース。英国紳士が好む王道フレグランスとして、1951年の発売以来ベストセラーの1つとなっている。
■伝統をいまに伝える本店 予約制ビスポークも
1730年から続くジャーミンストリート89番地本店の店内は、英国の古き良き時代のエレガンスを感じる特別な空間だ。重厚なスペイン産マホガニーのキャビネットは、1851年にハイドパークで開催されたロンドン万国博覧会で購入された由緒ある品。このキャビネットを含め、建物そのものが英国の歴史的重要文化財に指定されている。 1階の最奥には、創業時の面影をいまに伝える調香室がある。この部屋ではフローリスの伝統に基づき、いまも顧客の好みに応じた香りを創作する「ビスポーク パフューマリー サービス」が行われている(予約制)。ロンドンに旅した際は、ぜひ訪れてみたい憧れの空間だ。
■新生活におすすめの香り「マルベリー フィグ」
なお本店から徒歩圏内には、ロンドンで最も古い王立公園の1つ、セント・ジェームズ・パークがある。バッキンガム宮殿の目の前に広がるこの公園は、英国内で最大級と言われるイチジクの木が立ち並び、穏やかな湖のほとりを包み込む景色で有名だ。 その木々から漂うグリーンの香りにインスパイアされた「マルベリー フィグ」は、オリスの柔らかなキャラクターと、フルーツとスパイスのひらめきを組み合わせたフレグランス。やすらぎを与えてくれるフローラルアンバーな香りは、何かと気ぜわしい新生活のはじまりに心を落ち着かせてくれそう。 英王室を魅了し続けた洗練とエレガンス、そして時代に寄り添いながらもオーセンティックな気品を宿すフローリスのフレグランス。300年近い歴史を持つブランドの中から、毎日纏えるお気に入りをこの機会に選んでみてはいかが。