なぜ森保監督はアジア杯メンバーから香川真司を外したのか?
来年1月にUAE(アラブ首長国連邦)で開催されるアジアカップで、2大会ぶり5度目の優勝を狙う日本代表メンバー23人が12日、日本サッカー協会(JFA)から発表された。 直近の国際親善試合だった11月のキリンチャレンジカップの代表から外れたのは、DF山中亮輔(横浜F・マリノス)とFW杉本健勇(セレッソ大阪)の2人。代わりに肺気胸が癒えたDF長友佑都(ガラタサライ)、故障で10月シリーズを辞退していたFW浅野拓磨(ハノーファー96)が復帰した。 新生日本代表が船出した9月以降で、今回初招集された選手はゼロ。自らの手元に置き、試合だけでなく練習やピッチ外での立ち居振る舞いをチェックした顔ぶれにとどめた選考理由を、東京・文京区のJFAハウスで記者会見した森保一監督は、「非常に悩みました」と前置きしながらこう説明した。 「ご想像の通り、けが人が多いとか、あるいは候補に挙がってきてもトップコンディションなのかどうかとか。そういう点も含めて、苦労してメンバーを決めました。これまでの日本代表を引っ張ってきた、ワールドカップ・ロシア大会の経験豊富な選手たちの力を借りたい気持ちももっています。しかし、経験が浅い選手たちが多いなかで、今度は自分たちで新しい日本代表を築いていくんだ、という強い気持ちをもって戦ってほしい、という思いで選考しました」 ロシア大会の代表メンバー23人で残っているのは、長友やDF吉田麻也(サウサンプトン)ら9人だけ。24歳の中島翔哉(ポルティモネンセSC)、23歳の南野拓実(ザルツブルク)、20歳の堂安律(FCフローニンゲン)の2列目トリオを筆頭に、4年に一度のヒノキ舞台へ招集されなかった選手が14人を占め、平均年齢26.22歳とロシア大会よりも約2歳若返った陣容で初めての公式戦に臨む。 代表引退を表明したボランチの長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)を除いて、西野ジャパンのレギュラー組で森保ジャパンに一度も招集されていないのは、GK川島永嗣(RCストラスブール)、DF昌子源(鹿島アントラーズ)、MF乾貴士(レアル・ベティス)、そしてMF香川真司(ボルシア・ドルトムント)の4人となる。 このうち香川と、森保監督は対面する機会を設けている。JFAの関塚隆技術委員長とともに、11月下旬から実施した約10日間のヨーロッパ視察。ベルギーからドイツへ足を運んだ過程でドルトムントの練習場を訪ね、西野ジャパンでコーチを務めたロシア大会以来となる再会を果たした。 年内の国際親善試合をすべて終えた直後に、残り2節となっていたJ1ではなくヨーロッパへ急きょ向かったこと。しかも話し合いの場をもった選手たちのなかに、ドルトムントの公式戦でベンチ外が続いていた香川が含まれていたことが、さまざまな憶測を呼んだ。 その最たるものが「アジアカップで復帰させるのではないか」――だった。実際、帰国後の今月6日に東京都内で開催されたトークショーに参加した森保監督は、香川について「貴重な戦力。突然来てもチームにフィットする選手」と最大級の賛辞を込めて言及している。 しかし、実際に発表されたアジアカップ代表メンバーのなかに、香川の名前はなかった。ここには誠実かつ真面目な人柄で知られる指揮官ならではの、気遣いが反映されていたのではないだろうか。