“音楽が泣ける映画”、最高傑作は? 心震える名作洋画(5)号泣必至…映画史に残る最高のラストとは?
音楽は映画に不可欠な要素のひとつである。優れた映画音楽は、観客を感動の世界へ誘うだけでなく、名場面を思い出させるよすがとして観客の心の中に永遠に残り続ける。今回は、そんな聴くだけで魂が揺さぶられる音楽が登場する映画5本をセレクト。その魅力を徹底解説する。第5回。※この記事では物語の結末に触れています。(文・シモ)
『街の灯』(1931)
監督:チャールズ・チャップリン 脚本:チャールズ・チャップリン 出演者:チャールズ・チャップリン、ヴァージニア・チェリル 【作品内容】 職なし家無しの放浪紳士チャーリー(チャールズ・チャップリン)は、ある日、街角で花を売る盲目の娘(バージニア・チェリル)に出会い恋をする。 娘に裕福な紳士と勘違いされた彼は、清掃員として働いたり、ボクシングの試合に出たりしてなんとか目の治療費を稼ごうとするのだが…。 【注目ポイント】 喜劇王チャールズ・チャップリンが自ら監督・脚本・主演・編集・音楽を担当した代表作『街の灯』。本作に登場する胸を打つ名曲は、本作のフィナーレを飾る音楽だ。 盲目だった花売り娘は、放浪紳士チャーリーが工面した手術代で目が見えるようになり、自分の花屋を開くまでになっていた。 そんなある日。花屋の前をみすぼらしい格好の一人の男が通りがかる。彼の姿を見つけ、硬貨と一輪の花を手渡す娘。と、その瞬間、彼女の脳裏に懐かしい記憶が蘇る。目が見えなかった頃に触れた、あの手の温もりだ。 「あなたでしたのね?」 「見えるようになった?」 「ええ、見えますわ」 涙ぐむ彼女に、満面の笑みを浮かべる放浪紳士。そこに、胸をかき鳴らすような叙情的な弦楽器の音色が重なる。数ある映画の中でも号泣必至のラストシーンと言えるだろう。 なおこの楽曲、チャップリン自身が作曲した音楽で、トーキー期の音楽とのこともあり、曲名は確認できなかった。しかし、本作のテーマとして知られるラメル・ケレのシャンソン曲「ラ・ヴィオレテラ(すみれの花売り娘)」と併せて聞くと、より一層胸に染み入ってくること請け合いだろう。 (文・シモ)
シモ