知ってたら「おじさん」!? 一定速度越えたら車内で「キンコン」…“謎の警告音”実は若者にも人気ってホント!? 今のクルマで聞けなくなった「納得の理由」とは
今は聞けない「あの音」とは
その昔、高速道路走行中に一定速度を超えると車内に「キンコン」といった音が鳴り響いていたことを覚えている人もいるかもしれません。 いったいどんな意味があり、なぜ今は消えてしまったのでしょうか。 【画像】えっ…思わず絶句!? これが「80年代の日本のクルマ」です(30枚以上)
この「キンコン」という音は「速度超過警告ブザー」というものでした。 このブザーの設置が定められたのは1974年11月。運輸省令45号「道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令」では、一定速度を超過した際に警告音が鳴るように定めています。 高速道路の制限速度を超えないようにするものであるため、普通車は100km/h、軽自動車は80km/hを超えると「キンコン」が鳴る仕組みでした。このブザーが無いと車検に通りませんでした。 当時シートベルトの義務化がすでにはじまっていましたが、今のようなエアバッグの技術はなく、速度超過による重大事故の抑制が重要だったと考えられます。 その後速度超過警告ブザーは1986年3月、同保安基準が改正されて廃止となりました。廃止理由のひとつには、海外からのクルマの輸入問題があります。 1980年代に日本の自動車生産台数は世界1位となり、日本から米国への過剰なまでの自動車輸出が日米貿易摩擦の原因となっていました。国際関係や経済バランスを良好に保つべく、日本はクルマの海外輸出を規制すると同時に、逆に海外車の輸入拡大も図ります。 しかし、海外車を輸入するにあたって、そうした「日本国内の独自ルール」が課題になったのです。速度超過警告ブザーも同様で、車内に設置するコストや手間は頭の痛い課題でした。そのため、海外からスムーズにクルマを輸入する対応として規制の撤廃が進められました。 また、もう一つの理由として、高速道路で「キンコン」音が一定のリズムで流れ続けることが、眠気を誘ってしまうというのも1つの理由でしょう。 クルマの安全性能は年々改善し、高速道路での事故死亡者数は平成を迎えるまでに年々減少していきました。そういった状況も撤廃の背景と考えられます。