無人ヘリで3D計測 木材の活用にも繋がる森の“デジタル化”【WBSクロス】
空のデータで森を生かす
計測から1週間。担当したヤマハ発動機のスタッフが訪れたのは静岡・浜松市。計測データを3D映像にする会社「エリジオン」を訪れるためです。 「どういうふうに見えるか、われわれとしても楽しみにしている」(大塚さん) 計測したデータを確認すると、空間に打たれた点がそれぞれ立体データになっています。空から撮ったデータが赤い線、別の機会に地上で計測したデータが白い線です。これらの神社のデータに、空から計測した森のデータを重ね、3D映像を作り出していくのです。空からのデータが予想以上に精緻に取れたことがわかりました。 「3Dデータは取ることが目的ではなく、活用することが目的。博物館に来る人がどういう経験をすることで感動してもらえるか。一つ一つ階段を上っていくことが必要」(「エリジオン」ゼネラルマネージャーの中川大輔さん)
ヤマハ発動機はこうした事例を積み重ね、森のデジタル化の技術を高める計画です。別の事例である静岡県で計測したものを見せてもらうと「どこにどんな木が何本生えているのか明らかにする。この丸が木1本。この地域の山に木が何本ずつあるか表示させた」(ヤマハ発動機・新規事業開発本部 森林計測部の加藤薫部長)。 木の種類やそれぞれの本数、収穫できる木の量が一覧で表示されます。こうしたデータは、伐採した木材を運び出す林道の整備などに役立てることもできます。その先に見据えるのが林業の活性化です。 日本では人工的に植えられた木の6割ほどが樹齢50年を超え、既に利用できる時期ですが、伐採や搬出に費用がかかるため放置状態です。空からの森のデジタル化が調査コストを抑え、こうした木材の活用に繋がると期待されています。 「森がどういう状況なのかわかれば、どれくらいの経済性があるのか見えてくる。どのように伐採すればより効率的な伐採になるかも検討できる。デジタルの波が林業の世界にも押し寄せている」(加藤部長) ※ワールドビジネスサテライト