無人ヘリで3D計測 木材の活用にも繋がる森の“デジタル化”【WBSクロス】
日本企業がこれまでに培ってきた技術を使い、森を含む土地をデジタルデータ化する動きが広がっています。 京都の中心部にある京都文化博物館。ここでゴールデンウィークから特別に展示されているのが松尾大社の収蔵物です。清少納言も「神は松尾」とうたった1300年以上続く神社で、国の重要文化財「三神像」や京都の名所を描いた江戸時代の絵巻「京名所絵巻」などが公開されています。 さらに新たに作られた松尾大社の3D映像も公開されています。3D映像を作った理由について「京都文化博物館」主任学芸員の西山剛さんは「3Dデータを取ったということは図面を書いたのとほぼ同じ。近年の災害の多さを見ると、今をどのような形でデータ化するかはすごく大事。学術的な意味での財産になっていく」と話します。 今回は神社の境内にとどまらず、周辺の森もデジタル化しました。森にある大きな岩「磐座(いわくら)」が古代から信仰され、重要なものだったためです。 実はこの森のデジタル化は、国産材の産出額が最盛期から6割以上減少した日本の林業復活のきっかけとしても期待されています。どういうことなのでしょう?
京都最古の神社を空から計測
4月中旬。松尾大社の磐座のある森を計測する日です。 「今から産業用無人ヘリコプターでレーザー計測技術を使ってデジタル化していく」(「ヤマハ発動機」森林計測部の大塚修平さん) 使うのは遠隔操作のヘリコプター。ヤマハ発動機の製品です。同社では30年以上にわたり、農薬などの散布で産業用無人ヘリを活用してきた実績があります。ドローンより長い飛行時間を生かし、このヘリで森を計測し、データを林業に活用するサービスを2019年から始めています。 森を計測するのが機体に積んだ「LiDAR(ライダー)」という装置です。目に見えないレーザーを照射し、跳ね返ってきたレーザーを感知することで、目標物を立体として捉える仕組みです。 ゆっくりと離陸する産業用無人ヘリ。計測開始です。 「止まっているように見えるくらい、ゆっくり森林の上空を飛ばしていく。木のてっぺんから40メートルぐらいのところ。低いところをゆっくり飛ばすことで、森林内部にレーザーをしっかり届けていく」(大塚さん) 産業用無人ヘリは時速およそ4キロメートルでゆっくり進みます。東京ドームおよそ3個分(14ヘクタール)の広さの計測を90分ほどで終えました。