【ロッテ】佐々木朗希、異例のメジャー挑戦「若い年齢で勝負したいと」球団は本人の意志尊重
ロッテは9日、佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムによる米メジャーへの移籍に向けた手続きを開始すると発表した。佐々木は入団当初から、早期にメジャー挑戦したい意向を球団へ伝えていた。現行の大リーグの労使協定による「25歳ルール」のため、マイナー契約しか結べず年俸も低く抑えられる。それでも、球団は若き右腕の背中を押す決断を下した。 【一覧】ポスティングシステムで移籍した日本人投手/譲渡金など契約内容 ◇ ◇ ◇ 異例のメジャー挑戦だ。ZOZOマリンで取材に応じた松本尚樹球団本部長は「毎年思いは一緒なんですけど、とにかく早く行って勝負したいと。1日でも早く、若い年齢で勝負したいとはずっと入団当初から言っていて、そういう話をずっとやってきた。最終的には総合的にこちらも判断して今年、容認しました」と本人の意思を尊重したと説明した。海外FA権を行使しての挑戦なら、現状は最短30年、29歳になる年から。5年も早まった。 入団時に、早い段階でのメジャー挑戦を容認する契約があったかは「実際、本当にないです」とはっきりと否定した。「(入団から)5年というのは全く決めていなかったんですけど、1年1年しっかりと自分自身を持って話をしていたので、こうなったら背中を押してあげたい」と語った。 金額だけなら、ロッテのメリットは少ない。25歳ルールでマイナー契約となり、譲渡金は契約金の25%のみ。その契約金はボーナス・プールによる制限があるため、最大11億円あまり。ロッテに入る額は3億円に届かない。昨オフの山本の移籍でオリックスに支払われた70億円超のような大金は望めない。あと2年待てば、25歳となり譲渡金がばく大となるのは確実。それでも、松本本部長は「そこは意識せずに、本人とずっと話してきたので。それは別として本人の思いの強さとか、最終的に判断して容認した形」と繰り返した。 過去に例がないのは金額にとどまらない。ポスティングで米移籍した日本人投手は17人。佐々木の23歳は大谷(日本ハム)と並ぶ最年少だが、実働年数4年は最少。通算64試合登板も最少で、同29勝は大塚(中日)に次ぐ少なさだが、大塚はリリーフ投手。日本での最終年俸8000万円も藤浪(阪神)に次ぐ少なさだ。完全試合など圧倒的なパフォーマンスはあったが、実績が少ないのは事実だ。 今季は自己最多10勝も、右上肢のコンディション不良などで2度離脱。1年間、先発ローテを守ったことがない。それでも、球団は本人の強い思いを後押しする。昨年はキャンプイン間近の1月26日に12球団最後に更改。「野球を始めた頃から将来的にメジャーリーグでプレーしたいという思いはあった。毎年そういったコミュニケーションは球団ととってきた」と話していた。現在は、ZOZOマリンでの秋季練習には他の先発陣同様、参加せず、自主トレを続けている。松本本部長は「日本代表でもありながら、ロッテの代表でもありますので、世界で頑張ってほしい」とエールを送った。【星夏穂】 ◆25歳ルール 25歳未満かプロ6年未満の海外選手はマイナー契約しか結べない制度。契約に使える金額は、各球団に割り当てられたインターナショナル・ボーナス・プールの範囲内(年間500万ドル~700万ドル程度)に制限される。17年オフに23歳で日本ハムからエンゼルスへ移籍した大谷は契約金230万ドルでマイナー契約。キャンプは招待選手として参加し、開幕前にメジャーに昇格した。