業務用米で多収新品種 「あきたこまち」より2割も 全農と農研機構
JA全農は6日、多収で業務用需要に向く水稲の新品種「ZR1」を、農研機構と共同で育成したと発表した。東北以南での栽培に向き、移植・多肥栽培の試験では10アール当たり収量が767キロ。いもち病などに抵抗性を持ち、倒伏しにくい。早生で他品種との作期分散もしやすいとする。2025年産から本格普及させる計画だ。 全農による業務用米品種の育成は初。同機構との共同育成も初という。全農は中食・外食向け業務用米の契約栽培を推進している。実需者と生産者の双方にメリットがある良食味かつ、多収で作りやすい品種を目指した。 育成地は、秋田県大仙市の同機構東北農業研究センターと神奈川県平塚市の全農の営農・技術センター。移植栽培の試験では、10アール当たり収量は複数年平均で、標準的な窒素施肥量(10アール当たり元肥5キロ、追肥2キロ)で663キロ、多肥栽培(同元肥7キロ、追肥2回計5キロ)で767キロだった。「あきたこまち」より約2割多収。農家の水田での栽培試験では最大で同823キロ取れた場所もあった。 熟期は「あきたこまち」と同程度。育成地の秋田県では、5月下旬移植で、7月末~8月頭に出穂期、9月中旬に成熟期を迎える。倒伏しにくく、葉いもち・穂いもち、縞葉枯(しまはがれ)病に抵抗性がある。 23年産では東北、関東、北陸などで栽培試験をして、良好な結果を確認した。高温が続く中、既存の多収品種より収量が多く、品位等級が高い傾向が見られたという。 24年産でさらに広域で試験し、25年産から本格普及に移す計画。28年産までに1000ヘクタール以上の作付けを目指す。
日本農業新聞