2024年、最もアイコニックなアウトフィットは?
ブルックリンの路上で見つけたクワイエット・ラグジュアリーから、パリ・オリンピックでのサイバーパンクなスタイルまで。米版『GQ』が選ぶ2024年のベストドレッサーたちを紹介。 【写真12枚】2024年、最もお洒落だったセレブは誰? 米版『GQ』が選ぶベストドレッサーたちをチェック!
■テイラー・ラッセル&ハリー・スタイルズ 3月、米ニューヨークにて ハリー・スタイルズとテイラー・ラッセルは、ファッション界で最も有望なパワーカップルだった。この世界的なポップアイコンとインディー映画の大物俳優は、約1年の交際の後、今年の晩春に別離した。 しかし、ブルックリンにある友人宅のブラウンストーンの階段を下りるふたりは、ザ・ロウとロエベを中心としたカジュアルなデイウェアで、目を見張るような足跡を残した。彼女のトレンチはヴィンテージのアルマーニ、ふたりが抱える4つのバッグはいずれも数千ドルのものである。 恋愛は移り気なものだが、クワイエット・ラグジュアリーは永遠だ。 ■ダニエル・クレイグ 9月、仏パリにて ジェームズ・ボンドがニューヨーク郊外のハドソンバレーに隠居して、生協に入り、鶏の飼育に熱中したとしたら? ロエベの2025年春コレクションのショーで、奇抜なニットセーターにたっぷりとしたカーゴパンツ、さらには無精髭という落ち着いたスタイルで登場したダニエル・クレイグは、明らかにスパイ引退後の生活を楽しんでいるようだ。 最新作『Queer(原題)』が控える彼はその数カ月前、同ブランドの秋冬キャンペーンで同じような着こなし(そして同じ無精髭)を披露し、話題となっていた。 ■トレイシー・チャップマン 2月、米ロサンゼルスにて 1988年発表の自身のヒット曲「Fast Car」を、カントリーのスーパースター、ルーク・コムズとともにグラミー賞のステージでサプライズ披露したトレイシー・チャップマン。プラダの特注シャツとブルージーンズで登場したこの伝説的シンガーソングライターの姿に、観客は熱狂した。このルックは36年前、グラミー賞を受賞した同曲を同じステージで演奏したときに彼女が着ていたものを彷彿とさせた。 昨今の何でもありのスタイルは確かに楽しいが、彼女のシンプルなアンサンブルはあることを思い出させてくれる。チャップマンの出で立ちに我々が息を呑むほどうっとりとしたのは、最近では滅多にお目にかかれない「品格」を彼女が纏っていたからにほかならない。 ■マティ・マシスン 1月、米ロサンゼルスにて 実生活での料理人としての経験を、FXのドラマシリーズ『一流シェフのファミリーレストラン』での気さくなニール・ファク役に活かしているカナダ人シェフ、マティ・マシスン。彼はすでにメンズウェアの“グルメ”としても定評がある。しかし、タキシードにチャーチのフィッシャーマンサンダルと白靴下を合わせてエミー賞に出席する気概と、それを成功させるスキルの両方を持ち合わせている人物はなかなかいない。 ■ケンドリック・ラマー 6月、米ロサンゼルスにて ケンドリック・ラマーはスタイル面でもその他の面でも、今年も絶え間なく話題を振り撒いたが、 私たちのお気に入りは、今夏の「Pop Out」コンサートで彼が着用したシンプルな衣装だ。ライトウォッシュのジーンズにザ・ロウのリュクスな赤いフーディーも素晴らしかったが、とどめの一撃を加えたのは、長年人気とは言えなかったナイキ「ショックス」の投入だった。 ■シェイ・ギルジャス=アレクサンダー 2月、米インディアナポリスにて 故ヴァージル・アブローに敬意を表し、クロムハーツのパンツにマッチするキャンディカラーのVパッチで覆われたグルッポ・ヴァヴァのジャケットを着用したのは、“トンネルフィット”の神様ことシェイ・ギルジャス=アレクサンダー。トンネルとはロッカールームとコートを結ぶ通路のことで、ここでの選手の着こなしはNBAのひとつの注目ポイントとなっている。 ギルジャス=アレクサンダーが米版『GQ』の「最もスタイリッシュなNBA選手」読者投票で2度も優勝したのは、無地のジーンズとTシャツを着ていたからではないのだ。 ■ジェイコブ・エロルディ 9月、伊ミラノにて ギレルモ・デル・トロ監督の次回作でフランケンシュタインの生み出した怪物を演じる数日前、身長195cmのジェイコブ・エロルディは、ボッテガ・ヴェネタの春夏ショーで太陽の光を浴びていた。今年、同ブランドとアンバサダー契約を結んだ彼は、リップスティックのような赤の「イントレチャート」バッグを持ち、犬の形をしたチャームで留めた。 ■アダン・バヌエロス&ベラ・ハディッド 9月、米ニューヨークにて 馬好きで知られるスーパーモデルのベラ・ハディッドは今年、モデル業を休止中にテキサス州フォートワースに引っ越した。プロのロデオ選手であるボーイフレンド、アダン・バヌエロスともに、ふたりはウエスタンなベルトバックル、ローウエストデニム、カウボーイハットのペアルックで、カントリーの雰囲気をシティに持ち込んだ。至福のカウボーイコアと呼ぼう。 ■ポスト・マローン 2月、米ラスベガスにて ビヨンセと「Levii's Jeans」という曲でコラボする1カ月前、ポスト・マローンは第58回スーパーボウルでラングラーによる50ドルのジーンズを履き、愛国歌「America the Beautiful」を歌った。ターコイズブルーのボロタイもいい感じだ。 ■ウィレム・デフォー 10月、仏パリにて プラダの2012年秋のランウェイを歩いた12年後、個性派俳優ウィレム・デフォーは、シャープなネイビーのコート、光沢のあるグレーのパンツ、バックルブーツで姉妹ブランド、ミュウミュウの2025年春のショーを締めくくった。 それに先立つ3月のある日の午後、マンハッタンの街角でTikTokの「The People Gallery」によるファッションチェックを受けたデフォーは、ほぼ頭からつま先までプラダを着用していると告白していた。自身のスタイルを嬉々として語る彼の姿を思えば、このキャットウォークへの登場はあくまで自然な流れのように感じられた。 ■ステフォン・ディグス 5月、米ニューヨークにて NFL全体を見渡してもベストドレッサーと言っていいワイドレシーバーのステフォン・ディグスは、H&Mによる特注のきらびやかなセットアップを纏い、2度目のメットガラ登場を飾った(ヒューストン・テキサンズと契約してからは、初めてのレッドカーペットとなる)。 このようなイベントは別にしたとしても、ディグスはフットボールシーズン中のドレスアップは、今や当然のことに過ぎないと主張する。「82試合もあれば、1度や2度は必ずキメることになる」と、彼はこの秋『GQ』に語った。 ■キム・イェジ 7月、仏パリにて 2024年パリ五輪の射撃女子10mエアピストル競技で銀メダルを獲得した、韓国の射撃選手キム・イェジ。インターネットではすぐさま、彼女を『ジョン・ウィック』の悪役に起用しろという声が上がった。Z世代が「オーラ」の意味を再定義した今年、フィラ(FILA)のアノラック、SF風のシューティンググラス、象のぬいぐるみのチャームを身に着けた彼女ほどの魅力を発散させたアスリートはいなかった。 From GQ.COM By Eileen Cartter Translated and Adapted by Yuzuru Todayama