あれから25年、NHK「はに丸王子」が復活する理由とは?
40歳前後の視聴者に強烈な印象を残したNHK教育テレビの幼児向け番組「おーい!はに丸」のキャラクター「はに丸王子」。この夏8月13日に特番「はに丸ジャーナル」として30分間の放送が決まり、ツイッターなどネットで大きな反響を呼んだ。しかし、なぜ今「はに丸」が復活し、時事問題に迫るのか? 担当プロデューサーにその狙いを聞いた。 生きづらい時代に勇気を ── ジャーナリスト・はに丸王子の挑戦
はに丸が、切り込むのは時事問題
番組制作の指揮を執るのは、河瀬大作プロデューサー(45)。河瀬プロデューサーは、過去に「プロフェッショナル 仕事の流儀」「クローズアップ現代」といった、誰もが知るドキュメンタリー番組の制作にディレクターやプロデューサーとして携わってきた。今年6月までは「探検バクモン」のプロデューサーを務めており、特番は「バクモン」のチームが制作する。 「時事問題を伝えようとする場合、あらゆる人があらゆることを言う。いろんな立場があって難しい。『バクモン』がそうだが、まず事象をあぶり出すことで視聴者に興味関心を持ってもらいたい」と河瀬プロデューサーは話す。 政治や経済などの難しい時事問題は、難しいがゆえに、視聴者に届けることが難しい。しかし、そこに挑戦がある。
なぜ、はに丸の起用を決めたのか?
「はに丸の起用を決めたきっかけは、2013年にNHKと日本テレビが共同で制作したテレビ60年の記念番組『NHK×日テレ 60番勝負』にさかのぼります」。 このイベントの一環として「できるかな」のゴン太、「おーい!はに丸」のはに丸とお馬のひんべえ、「うたのおねえさん」として知られるはいだしょうこさんが日テレ社屋を訪れた。同年の「視聴率三冠王」を達成して誇らしげな日テレの幹部に対して、はに丸は「三冠王ってどんな王様?」「2番じゃだめなんですか?」と“困った”質問を次々と投げかけた。 この掛け合いが大いにウケた。この子ども目線で無邪気に本質を見抜くインタビュー力に目をつけたというわけだ。しかも、大人は子どものはに丸が相手だと一生懸命に説明しようとする。 「そんなことがあったので、『はに丸』という飛び道具を使ったら面白いかなと。だからガチンコのニュースショーにするということではなくて、バラエティーとしてやりたいのです」。 「おーい!はに丸」は1983年から89年にかけて放送された。絵から飛び出してきたはに丸は、人間の言葉を知らない。分からないことがあれば「はにゃ?」と質問する。「こんにちはって何?」「足って何?」。そもそもの疑問について、ゆっくりと時間をかけて学び、成長していった。