「身内に遺すよりも」高齢女性に広がる“遺贈寄付”が10年で倍増、年間400億円の現状
遺贈寄付で始まる新たな人生
遺贈寄付をしたいと思った人はどうしたらよいのか。 「基本的には遺言などでその意思を示しますが、形式不備などがあるとせっかくの遺言が実行されません。ですから、専門家に相談することをおすすめします」 近年は信託銀行でも遺贈寄付の特約がついた遺言代用信託が登場。相談できる場は増えている。最も重要なのは、自分の人生を振り返り、遺贈したい団体を探すこと。 「あなたが共感や感動を覚えたこと、心を痛めたことを思い出し、それに取り組んでいる団体を探しましょう。例えばCさんご夫妻は“嫁いだ娘さんには少額のみで、残りはがん研究に取り組む団体に寄付”という遺言書を作成されました。 親族ががんで他界され、自身も罹患(りかん)された経験があるため、そこを寄付先に選んだそうです」 寄付先を選択したら、その団体に遺贈寄付の意思があることを伝えるといいそう。 「そうするとイベントへの招待や活動報告の送付など、その団体との交流が生まれます。その結果、世界が広がり、これまでにない経験ができるなど、その先にいい人生が待っているかもしれません」 話を伺ったのは……齋藤弘道さん●遺贈寄附推進機構 代表取締役。全国レガシーギフト協会 理事。信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。 取材・文/中西美紀