学校や社会で感じるモヤモヤを晴らすには。校則を変えた上野我唯が語るアプローチと考え方
「変わらなかった」=「失敗」じゃない
── 高校時代に先生や生徒と対話をする機会が多くあったと話していましたが、そのことで身についたと思うことはありますか? 対話を重ねることで客観性は身についたと思います。たとえば友だちに、「自分はこう思っているよ」と話すと、相手はそれを聞いて「そういう風に思ってるんだね。私にはこう聞こえたよ」と教えてくれる。対話することで、自分のことや伝えたい話を相手がどう受け取っているのかを知ることができます。それに、話していく過程で自分自身の気持ちが整理されて、今まで感じていた違和感の本質がわかったりする。 それから、対話というところにもつながるかもしれませんが、違和感を乗り越えるためには意見を言い合える仲間づくりが大事だなと感じます。「モヤモヤした気持ちを解消するためにアクションを起こしたいけど。仲間がいなくて動けない」という人は、自分の周りにも本当に多い。 ── もし失敗したらとか、自分が動いても誰も話を聞いてくれなかったら嫌だなとか、そういう不安な感情に陥って足踏みしてしまうことって、よくありますよね。 そこが壁になって動けないのは本当にもったいないことですよね。アースデイ東京ユースでは、そういった学生たちをオンラインでつないで、みんなでやりたいことを共有しあって、「社会の新しい当たり前」をつくっていく活動をしています。2024年3月には、僕がプロデューサーとして関わっている「環境・社会活動」をテーマに学生の挑戦や活動を形にしていくマルイとのコラボイベント 「NEOアワード」 を開催する予定です。自分の思いに対するアクションを起こしていくことが楽しいと思える環境づくりって本当に大切で、その一歩が、仲間づくりから始まるんじゃないかと思います。 ── ここまでお話を聞いて、最後に改めて、違和感を乗り越えるためにまずはどんな考え方を大切にするのがいいのか、上野さんに聞いてみたくなりました。 校則を変えようとした時もそうでしたが、僕が常に高いモチベーションで行動していたかといったら、そうでもないんです。もし校則が変わらなかったとしても、先生と生徒の間で見直すきっかけになればいいな、くらいの思いでした。過剰に意気込むのではなく、カジュアルな気持ちで動いてみることが大切です。だって、行動して変わらなくても、それがイコール失敗ではないから。 僕は高校生の時から、他校の学生にアクティブラーニングの授業をしてきましたが「今やっていることがすぐに結果として現れなくても、チャレンジしていくことで叶えられる人に近づいている」と伝えてきました。どんなプロジェクトにおいても、もっとポジティブなエネルギーで物事を動かしていくことが、自分や周囲の人、社会にとっても、いい方向に前進するきっかけになると思います。
取材・文 : 岡田みわ 取材・編集 : 小山内彩希 編集 : くいしん 撮影 : 安永明日香