巨人大御所OBが苦言!「金銭授受問題は大なり小なりどこもやっている」
早々と身内の調査結果を表に出してコンプライアンスを厳格に守ろうという姿勢を強く打ち出した阪神と西武の動きは、むしろ評価しなければならないだろう。サンスポの記事に掲載された笠原氏の発言につつかれて事実を認めた“臭いものに蓋をする”巨人のコンプライアンス意識の低さとは対象的だ。 巨人OBで西武、ヤクルトで監督を務めた球界の“大御所”である広岡達朗氏も「円陣声出し金銭授受」の問題については、一定の理解を示した上で、こんな考えを提案する。 「選手同士で声出しをする選手にお金を払っているなんて馬鹿げている。プロなのだから同じチームであっても選手同士はライバル。ゲン担ぎの意味やチームワークの意味を履き違えている。ただ、こういうチーム内での金銭授受の動きは昔からあった。厳密に言えば違いはあるだろうが、大なり小なり、どこの球団でも現金は動いている。 球団や監督から報奨金という形で、活躍した選手に現金が動くし、罰金をとって選手に還元するような場合もあって、どこの球団もやっているだろう。私が広島のコーチ、ヤクルトの監督時代は断じてなかったが、西武の監督になったときに、球団から勝ったゲームに関して、活躍した選手などに、ボーナスのようなお金は出た。私は、こういう風習は良くないと考え、当時の責任者だった根本さん(故・根本陸夫氏、当時西武の編成、管理部長)に“やめましょう”と訴えたが、“球団が出すんだからもらっとけ”と言われ、継続していたことがある。 野球賭博の関与とはまったく違う問題だが、もうここまで色々な問題が出てきた以上、全球団が洗いざらいすべての過去を明らかにした上で、今後、一斉にチーム内の金銭授受はやめる、と線引きすべきだ。コミッショナーも、まるで他人事のような声明を出すだけでなく、もっと責任あるリーダーシップをとるべきで、今後、チーム内での金銭授受が判明したときには、どういう罰則を設けるのかも明文化すべきだと思う。 違反かどうかの判断も第三者委員会の弁護士に任せるのではなくコミッショナーがすべきである。今回、野球協約に照らしてみればという発言も、コミッショナーや巨人のフロントのトップから多く聞かれるが、あの難解な野球協約を理解し頭に叩き込んでいる選手が何人いるのだろう。専門家を呼び野球協約の勉強会も開く必要もある。根本からプロの責任と役割、そして社会人としてのモラルを教育し直す仕組みも作るべきだ」 次から次へと新しい事実が発覚する前に、各球団が早急に“膿を出して”再出発に切り替えなければ、ファンの信頼をますます失い、まともに開幕を迎えることができないのかもしれない。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)