「防衛装備移転三原則」見直し:装備品輸出を重要な安保外交ツールに転換
同盟国・同志国との協力・連携を重視
2022年12月の国家防衛戦略の改訂も、三原則の改正を推進した。国家防衛戦略では、防衛生産・技術基盤を「防衛力そのもの」と位置付け、「新たな戦い方に必要な力強く持続可能な防衛産業の構築、さまざまなリスクへの対処、販路の拡大等」に取り組むと規定した。特に防衛装備移転では、後に新三原則で規定されることになる政策目標の推進が必要とされた。国家防衛戦略では同時に防衛技術基盤の強化を掲げ、「(防衛関連)企業が有する装備品特有の技術や社内研究成果、さらには、非防衛産業から取り込んで装備品に活用できる技術を早期装備化に繋げていくための取組を積極的に推進」としている。 これは、防衛装備開発において、広範な技術基盤を活用する方針と理解できる。防衛戦略では、防衛産業・技術基盤の国家性を重視しつつ、同盟国・同志国等との協力・連携及び「スタートアップ企業や国内の研究機関・学術界等の民生先端技術を積極活用」する意義を強調している。 23年12月の新三原則では、これら日本国内の防衛戦略の変化を踏まえ、防衛産業・技術基盤を広範に規定し、それらパートナーとの間の防衛装備及び技術の移転の円滑化を進めている。実はこれは、2024年1月に米国が発表した防衛産業戦略との適合が見られる点でもある。米国の防衛産業政策では、米国の防衛産業の国内供給能力の不足を指摘し、同盟国の産業資産の協力を広範に活用する必要が述べられている。また、兵器製造の際に求められる最先端技術は、米国のみが独占しているものではないことは、90年代より指摘され続けられているものである。 米国以外の国へのライセンスバックを可能にしたこと、同志国等によるインド太平洋地域への関与機会の拡大(艦艇・航空機等のインド太平洋地域への展開や日本周辺における共同訓練・演習機会の増加)を受け、やはり従来は米国のみが対象であった民間事業者が行う修理等の役務提供を米国以外に拡大したことなどがこれにあたる。