夫と子どもの3人暮らしです。母から「生活保護」の扶養照会が届きましたが、専業主婦で収入がありません。援助ができないなら断るべきでしょうか…?
生活保護制度とは、国民に対して健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。ただし、生活保護を受けるためには要件を満たさなくてはなりません。その1つに親族等から援助を受けていないことが挙げられます。では、母親が生活保護の申請を行い、福祉事務所から「扶養照会」が届いた場合、専業主婦である娘は断ることができるのでしょうか。 ここでは、生活保護制度と扶養照会について解説していきます。
生活保護制度の受給要件とは?
生活保護を受けるためには、世帯単位で満たさなければならない要件があります。1つ目は、預貯金をはじめ、生活に使っていない土地や家屋などがあれば売却して生活費に充てる、2つ目は働くことができるのであれば働く、3つ目は年金や手当などがあれば給付を受けて生活費に充てる、4つ目は親族から援助が受けられる場合は援助を受けることです。 ちなみに、年金や手当、援助があるからといって、生活保護を受けることができないというわけではありません。厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比べて、年金や手当、援助などの額が低い場合、その差額が支給されることになります。
申請の方法とは?
生活保護受給を希望する場合、まずは、住んでいる地域の福祉事務所の生活保護担当に相談します。その後、生活状況を把握するための実地調査、預貯金・保険・不動産などの資産調査、収入や手当の調査、就労できるかどうかの調査などが行われます。 生活保護を受けている間は、毎月、収入の状況などを報告しなくてはなりません。また、場合によっては福祉事務所のケースワーカーが家庭訪問するケースもあります。 申請には、住所や氏名、保護を受けたい理由、資産や収入の状況を記入した申請書が必要です。場合によっては、通帳の写し・給与明細など、世帯収入や資産が分かる書類の提出が求められることもあります。
扶養照会とは?
生活保護を申請した場合、原則として3親等までの親族に「扶養照会」の書類が届きます。3親等とは、両親、祖父母、兄弟姉妹、子ども、孫、曽祖父母、ひ孫、伯父伯母(叔父叔母)、おい・めいまでです。そのため、母親が生活保護を申請したら、娘には扶養照会の種類が届きます。 ただし、「DVや虐待を受けたことがある」「長年(10年以上)音信不通である」「すでにお金を貸している」といった場合、扶養照会はしないことになっています。 また、扶養照会の書類が届いたからといって、必ず援助しなければならないということではありません。自分自身は専業主婦で収入がなくても、夫に収入がある場合、援助する必要があるのではないかと考えるかもしれません。しかし、経済的に支えることができない場合、援助しなくても問題はないのです。
扶養照会後に援助を断っても問題なし
生活保護を申請した場合、3親等までの親族に扶養照会の書類が届きます。そのため、母親が生活保護を申請すると、その娘に対して扶養照会がされるケースもあります。専業主婦で収入がなくても夫の収入がある場合、母親に対して援助をしたほうがよいのではと思うかもしれません。 しかし、経済的に支えることが難しいと考える場合は、援助はしなくても問題ありません。自身の状況や母親との関係性も踏まえ、金銭的な援助ができなくともこまめに連絡をとるなど、ベストな選択を行いましょう。 出典 厚生労働省 生活保護制度 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部