イノシシの目撃情報や農作物被害が徳島で多発 スポーツ広場芝生やキャンプ場も荒らされる
徳島県内で今夏以降、イノシシによる被害や市街地での目撃情報が相次いでいる。牟岐町では農地が例年以上のダメージを受け、これまで被害に遭うことが少なかった広場やキャンプ場なども荒らされ始めた。人家近くでの目撃も増えており、関係者は被害の拡大に頭を悩ませている。 【動画】剣山系・石立山でツキノワグマ目撃 高知市の男性 牟岐町灘の県立牟岐少年自然の家では11月末、運動部の合宿などで使われる「スポーツ広場」(3500平方メートル)で芝生の半分近くが掘り返される被害があった。深さ10センチほどのくぼみと盛り上がった箇所が無数にある。 イノシシが地中のミミズを狙って掘り起こしたほか、体毛に付着した虫を落とすため、体を土にこすりつけたとみられる。キャンプ場など2カ所でも同様の被害が見つかった。人的被害は確認されていない。 染川浩児所長によると、被害は夏ごろから見られ、徐々にエスカレートした。スポーツ広場が荒らされるのは初めて。「修復してもすぐに荒らされてしまう」と染川所長は話す。 農作物の被害も大きい。少年自然の家近くで米を作る正路進さん(60)は「今年ほどひどい被害に遭ったことはない」と憤る。約70アールある田んぼのうち50アール分の稲が食べられたり、押し倒されたりして収穫できなかった。「他の農家からも例年以上の被害だという声を聞く」と言う。 町猟友会の井上知美さん(38)=同町河内、アウトドアガイド=によると、昨年に豚熱の感染が拡大したため今年はイノシシの個体数が減ると考えられていたが、6月ごろから若い個体が目立つようになった。「人家に近づく個体が増えている傾向がある。住民からの目撃情報も多い」と警戒を強める。 町産業課のまとめでは、猟期外(4月1日~11月14日)のイノシシの捕獲頭数は今年が76頭で、昨年の約1・6倍に増えた。近年で突出して多いわけではないが、同課は「猟師が減っているのに捕獲数は減っておらず、生息数は増えていると考えられる」と分析する。 8月には美馬市の市道を走っていたオートバイにイノシシが衝突、転倒した40代男性がけがを負った。11月にも北島町の県道で走っていた乗用車にイノシシがぶつかった。徳島、鳴門、阿南、小松島各市などでも畑や市街地で目撃情報が相次いでいる。