山陰地方の独自文化?「法事パン」って一体何?
地方独特の文化と聞くと、どんな文化を思い浮かべますか? 岡山や島根などの山陰地方では、四十九日、一周忌、三回忌などの法事の際に現れる特殊な文化があります。一体どのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。 【画像】山陰地方の独自文化?「法事パン」って一体何?
なぜ法事でパンを配るの?
法事に参加した際の引き菓子として、日持ちする焼き菓子や和菓子をもらうことはよくあります。しかし山陰地方には「パンを配る」という習慣が。法事帰りにこの「法事パン」が喪主から配られ、多いときはひとり10個以上も持ち帰るそう。 山陰地方のパン屋さんでは「法事パン」と書かれたのぼりや、「法事パン承ります」という案内がよく見られ、法事でパンを配る習慣は一般的な文化になっている様子。最近ではパン屋さんだけでなく、スーパーやコンビニで「法事パン」を買う人も増えているといいます。 なぜ山陰地方の人たちは法事でパンを配り出したのでしょうか? 法事パンのもともとのルーツは、あずきの産地である島根県。ぜんざいや和菓子などのあんこを使った食べ物が多く、葬儀や法事の際にあんこを使った餅を配る習慣が根付き、それが山陰地方にも広がっていったようです。 当時は親戚総出で餅つきをしていましたが、時間や手間がかかるため、次第にあんこ入りの酒蒸しまんじゅうを配るように。さらに戦後のパン食文化とともに、当時は高級品だった「アンパン」を配るようになり、現在に至ったようです。 もはやアンパンだけではなく、クリームパンやメロンパン、ジャムパンなども配られているため、あんこ餅からはだいぶ離れているものの、好みに合わせて選べる楽しみが増えました。さらに、お彼岸やお盆の時期にはご先祖様へのお供え物としても需要が。山陰地方のパン屋さんは、法事パンの売上によって支えられているのかもしれませんね。 ■執筆/マツヤマ剛 ありとあらゆる面白情報を収集する雑食ライター。営業職で「トークのタネ」として雑学を集めていたことをきっかけにトリビアに目覚め、一念発起して編集プロダクションに転職。その後独立し、今に至る。特に、生活に関連するような知識には目がなく、日々情報収集に励んでいる。 編集/サンキュ!編集部
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