【唯一の公的実験データ】「自動車安全性能評価」で高得点の車種は何が凄いのか? スバルは4年間で3車種が最高点の「ファイブスター賞」を獲得
2023年度は「クロストレック/インプレッサ」が大賞
別掲の表は、2020~2023年度の結果について、調査年度ごとに総合評価の高い順に掲載したものだ(計52車種)。今回まとめたランキングではSUBARUが4年間で3車種の「ファイブスター大賞」を獲得した。自動車ライターの萩原文博氏が語る。 「2020年度のレヴォーグと2021年度のレガシィアウトバックに搭載された最新の『アイサイトX』は、一定条件下でハンズフリー走行も可能。2023年度のクロストレック/インプレッサに搭載の『新世代アイサイト』は3つのカメラで歩行者などをより的確に認識し、衝突安全ブレーキの作動領域が広がりました」 2022年度はトヨタのヴォクシー/ノアが大賞に。 「2022年はトヨタの定番車が生まれ変わった年です。『TNGAプラットフォーム』採用で車体の剛性を高め、運転支援システム『トヨタセーフティセンス』を進化させたことで、3位のシエンタを含めて衝突安全も予防安全も点数が急上昇したとの見方ができます」(萩原氏) 両社はNASVAの評価をどう受け止めるのか。 「リアルワールドで事故が起きるシチュエーションにおいて、事故回避、被害軽減をするための開発を続けてきており、その積み重ねが結果的に安全性能評価試験での高い評価に繋がっていると考えています」(株式会社SUBARU広報部) 「公的な唯一の自動車の安全性能評価であると認識しており、評価いただいた結果は車種のホームページなどに掲載し、お客様に安全性能を周知するために活用しています」(トヨタ自動車株式会社広報部)
日産、ホンダ、三菱のコメント
日産は2020年度にデイズ、2021年度にルークス、2022年度にサクラがトップ5に。 「デイズの2020年度モデルは衝突回避ブレーキ、踏み間違い防止機能に加え、2台前の車両の急減速を検知する『インテリジェントFCW』を搭載しました。これはスカイラインに初実装された高級車向けの機能です」(萩原氏) ホンダは2020年度にフィット、2021年度にヴェゼル、2022年度にステップワゴン、2023年度にZR-Vがトップ5入り。三菱は2021年度にアウトランダーPHEVがトップ5に入った。この結果について各社に聞いた。 「より安全な自動車を開発するための一つの指標と考えています。獲得した『自動車安全性能ファイブスター賞』は、ホームページやカタログ、TVCW、ギャラリーでの展示等において、第三者による公平な評価結果として活用し、その安全性能の高さをお客様にお伝えする方法の一つとしています」(日産自動車株式会社グローバルコミュニケーションオフィス) 「あらゆるシーンでの安全を評価いただくことで、自動車業界全体の安全に対する意識を保つうえで重要と考えております。安全なクルマをお客様に提供するために、結果を受け止めて、さらなる研究を重ねていきたいと考えています」(本田技研工業株式会社広報部) 「NASVAによる安全性アセスメントは、国土交通省と一体となり行なわれている信頼性の高い安全性評価と認識しており、当社もその評価を重視しております。当社は、交通事故以外の事故も含めた自動車が関わる全ての『事故ゼロのクルマ社会の実現』を製品開発における安全理念のビジョンとしており、事故低減技術の開発・実用化に役立てております」(三菱自動車工業株式会社広報部) ■続編記事:【自動車「安全性能実験」ランキング】「衝突試験で不利になりがちな軽自動車」「評価が振るわなかったスポーツカー」に対する自動車メーカーの見解 ※週刊ポスト2024年12月6・13日号