第5回野間出版文化賞を受賞した黒柳徹子さん（撮影◎本社奥西義和）

2023年12月15日、第5回野間出版文化賞の贈呈式が行われ、俳優・タレントの黒柳徹子さんが登壇しました。同賞は「書籍・雑誌などの従来の出版の枠にとらわれず、出版にまつわるすぐれた表現活動を行った個人・団体などを顕彰すること」を目的としています。第5回となる今回は、芦田愛菜さん、黒柳徹子さん、藤井聡太さんが受賞しました（特別賞にTBSプロデューサーの福澤克雄さん）。12月15日に開催された贈呈式での黒柳さんのスピーチから一部を紹介します。（撮影◎本社　奥西義和） 【写真】豪華3ショット!黒柳徹子さん、藤井聡太さん、芦田愛菜さん * * * * * * * ◆大ベストセラーに「悪口みたいな」書評が 開口一番、黒柳さんが口にしたのは「世の中が変わって来たなあと思うんです」という言葉でした。 42年前に『窓ぎわのトットちゃん』を書いたころに出た書評は、「女だから」「タレントだから」と、下に見るような書かれ方が多かったと明かします。「女房がいいと言ったから読んでみたら案外よかった」というような書評もあったそうです。 その時の想いを黒柳さんはスピーチでこう語りました。 「まぁ確かに女だし、タレントだし、問題はないんですけれど、いちいちそんなふうに言われちゃうのもなぁと思ってました」 『窓ぎわのトットちゃん』は現在では国内で800万部、世界で2500万部を超える空前のベストセラーに。黒柳さんは23年10月に、42年ぶりの続篇となる『続 窓ぎわのトットちゃん』を上梓。12月には『窓ぎわのトットちゃん』のアニメーション映画も公開されました。 42年ぶりに続篇を書いての周囲の反応の変化を、黒柳さんは次のように明かします。 「あたくし、同じような本を書いたんですけれども（笑）、今度はそんなふうに悪口みたいに「女だからなぁ」なんていうのは全然なくて。「女でいい」っていうような感じの批評（書評）があったりして。それは嬉しいことだなと思います」

◆藤井聡太八冠に「頭がいいの?」 芦田愛菜さん、藤井聡太さんと3人での受賞となったこのたびの野間出版文化賞については、次のように語りました。 「今日は本当にわたしが尊敬する藤井（聡太）さんとか芦田愛菜ちゃんとか、若い方たちとご一緒にこうやって賞をいただけるのはほんとに嬉しいと思います」 とりわけ藤井さんについては興味津々で、将棋中継をよく見ていると明かし、四角い盤を挟んでの息詰まる対局をジェスチャーで表現したうえ、「いったいどうしたらああいうふうにできるのか、とっても不思議でたまらない」と、トットちゃんと呼ばれたころから変わらぬ好奇心を示します。 「きっと頭がいいんだろうと思って、今日藤井さんに会った際に『頭がいいの?』と伺ってみたの。それもちょっと失礼な質問だったなと思うんですけども（笑）。お会いしたら、すごく普通の方だった。かわいい笑い方で。あぁそうか。普通でもいいんだなって思いました」 率直な感想に、会場にはあたたかな笑いがこぼれました。