黒柳徹子さん「『窓ぎわのトットちゃん』を書いた42年前は〈女だから〉〈タレントだから〉と言われたけれど」
◆「絶対、戦争なんかない時代に」 『徹子の部屋』(1976年2月~ テレビ朝日)の放送は1万2000回を超え、同一司会者によるテレビ番組の最多放送としてギネスブックに認定されています。そのことにも触れた黒柳さん。 「やっぱり人間っていうのは面白い。本当に世の中にはいろんな方がいらっしゃるものだと思って感心します。私も変わってるかもしれないんですけれども(笑)」 1万人以上にインタビューをしてきた長年の経験を踏まえて、自身の「聞く力」については、次のように語りました。 「若い時はすぐに相手と親しくなるのは難しかったんですけれども、今は歳をとって割とすぐに誰とでもお話しできるようになって。それはありがたいことだと思っています」 黒柳さんは70年前に日本初のテレビ女優としてNHKに入局。テレビの仕事には、戦争へ向かう世の中の流れを少しでも止める力があると信じている、そのために私はテレビに出続けたい、との決意を改めて表明しました。 「あたくしが何をやったら平和に貢献できるかというのはちょっとわかりませんけども、少なくとも反対の方角に行くのは頑張って止めるようにしています。そんな時代になったりすると大変ですので。絶対、戦争なんかない時代にしたい。わたしの子どもの時に戦争が始まりましたので、あんなに嫌なものはないと思っています」 『窓ぎわのトットちゃん』もその続篇も、平和を願って書いたもの。 「これからも続けて本が書ければいいなと思っています」
◆茂木健一郎選考委員「『トットちゃん』は、脳科学的に素晴らしい」 選考委員の茂木健一郎さんは、賞の意義について次のように語りました。 「本というのは、人々にいい影響を与えるものだと、わたしは脳科学者として思っています。いま、世の中がいろいろ大変なんですけども、その人の活動が世の中にいい影響を与えている方、そういう方が野間出版文化賞にふさわしいのではないか。今年、このように素晴らしい方々が賞をお受けしてくださったことをありがたく思っております」 黒柳さんの『窓ぎわのトットちゃん』については、「脳科学をやっている立場から言うと、あれほど多くの子供を救った本はないのではないか」と述べ、次のように語りました。 「トットちゃんの通うトモエ学園の校長先生が『君は、本当はいい子なんだよ』と言ってくれたあの時に、黒柳徹子さんは本当に救われたんでしょう。子供にとって自分の個性をそのまま認めてもらう、受け入れてもらうというのは、どんなに素晴らしいことか。 おとぎ話では苦労した後に幸せになりますけれども、脳科学的に言うと逆なんですね。子どもたちには、今日から幸せになってほしいんです。自分の存在を周囲に認めてもらって、丸ごと受け入れてもらって、その幸せがスタート地点となっていろんなことを学んでいく。 そういうことを黒柳さんの本はまさに体現しています。ずっとずっといい影響を世界に与えてくださっている素晴らしい方だと思います」 茂木さんのスピーチにも、受賞者の黒柳さんにも、会場からは大きな拍手が送られました。
「婦人公論.jp」編集部