<サッカー日本代表>ザックがメンバーを入れ替えた理由
オランダ、ベルギーとの2試合に臨むにあたり、アルベルト・ザッケローニ監督は「結果より内容を重視したい」と強調していた。だが、ベルギー戦の終盤に見せたのは、紛れもなく結果をもぎ取りにいく手堅い采配だった。 【動画】ベルギー戦 ハイライト動画ニュース コーナーキックから失点して1点差に詰め寄られると、3分後の82分にすかさずボランチの細貝萌を入れて中盤の守備を固め、86分にはセンターバックの今野泰幸を左サイドバックに投入する徹底ぶり。この一連の守備固めで利いていたのは、ボランチの遠藤保仁をトップ下に上げたこと。遠藤は相手陣内でボールをキープして時間を使う一方で、プレッシングも怠らなかった。こうして4分のアディショナルタイムを凌ぎ、逃げ切りに成功した。 来年6月のワールドカップ本番でダークホースとの呼び声高いベルギーから奪った大金星――。それもアウェーでの勝利という点で、その価値は高い。試合後、長谷部誠と今野は奇しくも同じ言葉で、このゲームを表現した。 「勝つべくして勝ったゲーム」 彼らがそう語ったのは、内容において日本がベルギーを上回ったからに他ならない。前線から連動したプレスを仕掛け、本田圭佑や岡崎慎司のゴールシーンに象徴されるように複数の選手が絡み合った攻撃も冴えていた。後方からのビルドアップの質でもベルギーを上回り、指揮官がよく口にする「インテンシティとスピード感」あふれるゲームだった。 それを可能にした最大の要因は、選手たちのコンディションの良さだろう。このシリーズでは、ピッチに送り込むメンバーのコンディションに最大限に配慮する指揮官の姿があった。 ザッケローニ監督が「このチームはコンディションが良く、インテンシティが発揮できているときは素晴らしいゲームをする」と語ったのは、今年5月のことだった。続いて、インテンシティについて、こう説明した。 「オン(ザ・ボール)でも、オフ(ザ・ボール)でも活動的になることだ。例えば、オフのときには、相手のボールホルダーに対してアプローチに行き、その後ろの選手も連動して動く。オンのときには足下だけでつなぐのではなく、スペースにボールを出す、走りながら素早くボールを進めていくというように、活動的になることでもある」