都内の高級タワマンを“私物化”する「女理事長」の理不尽な要求…住民の意見は無視、あまりの圧に「何も言えない」
全住民の同意を得ることは至難の業
まず、マンション全体で電力会社を変更するには、「共用部分だけ電力会社を変更する方式」とマンションの専有部分と共用部分の丸ごと変更する「一括受電方式」の2種類あります。 後者の一括受電方式は、管理組合がマンション1棟分の電気を一括契約(高圧契約)し、各戸の専有部分の電気を低圧に変換して供給するものです。 従来のようにマンション居住者が各自で電力契約(低圧単価で購入)するのではなく、マンション全体で一括契約(高圧単価で購入)する事で、単価の安い高圧電力で契約して、単価差を捻出する事で、電気料金の削減を可能とする方法です。 しかしこれには、居住者各自が電力会社を変更することができなくなるデメリットもあります。 これまでの方式から一括受電方式に切り替える場合には、高圧受電設備を設置や電力会社との契約も変更になるので、そのマンションの居住者が合意しないと進めません。そのため管理組合の総会決議事項となっていますが、総会の決議で承認されたからといって、すぐに変更はできません。 一括受電方式では管理組合がマンション1棟分全部の各住戸の電気を一括契約で変更するので、各住戸の専有部分は現在の電力会社との契約の解約手続きをしなければなりません。さらに新たに電力会社との契約もあり、実質的に住戸全員の承諾(協力)が必要になります。 総会は通ったものの一人でも反対者がいてその人の協力得られなければ一括受電方式に変更できないです。 実際あった事例ではマンションの居住者の中に、電力会社の社員やそのグループ会社の社員が住んでいて、スムースに一括受電方式に移行できない場合もありました。そのため総会決議後、何年も一括受電方式変更できないマンションもあります。 総会決議に従わない組合員に対して「共同の利益に反する行為」として反対者が裁判沙汰になるケースもあり、全住戸の同意を得ることは至難の業です。 一方、共用部分の電力会社だけを変更する方法は、マンションの各住戸の電力会社に影響が及ばないので、総会の普通決議で承認可決されれば直ちに変更が可能です。 消費電力を抑えためにエントランスホールや集会室、ゲストルームなどの共用部や共用施設のエアコンの温度調節をマメに行ったり設定温度を変更したりするマンションや共用廊下、避難用の外階段の照明灯をところどころ間引いてゆくマンションもあります。 しかし、照明を間引きしすぎると先にお伝えした酒井さんの事例のような「いかにも貧窮しているマンション」という印象を与えるためトラブルになります。マンションは、『住人十色』様々な価値観をお持ちです。価値観は押し付けないことが何より大事だと考えています。 さらに松本さんの連載<都内の高級タワマンを“私物化”する、女理事長「暴走の一部始終」…ママ友を巻き込み「フロントに食ってかかった」>もどうぞ。
松本 洋(マンション管理士)