【衆院選の争点】全国各地で論戦が展開される一方で日本周辺の国では不穏な動き…緊張感増す安全保障問題は
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
衆院選が始まり、全国各地で論戦が繰り広げられる中、日本の周辺の国では不穏な動きが…。 10月15日。これは韓国と北朝鮮の軍事境界線付近を捉えた映像です。さらに別の場所でも。 韓国軍によりますと、北朝鮮が、韓国とつながる「南北連結道路」の一部を爆破。両国の関係は悪化の一途を辿っています. 北朝鮮のミサイル実験も繰り返され、防衛省によると、金正恩政権下では、昨年度までに少なくとも179発が発射されているということです。 さらに9月、北海道の礼文島北の日本の領海上空で、ロシア軍の哨戒機が3度に渡り領空を侵犯。自衛隊の戦闘機が強い光や熱を放つ「フレア」による警告を初めて実施しました。緊張感を増す日本周辺の安全保障環境。 今、日本が置かれている状況をどう見ればいいのか?元朝日新聞の記者で、安全保障に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の峯村健司氏は…。 (キヤノングローバル戦略研究所 峯村 健司さん) 「『最悪』というのがキーワードだと思う。『最悪』とは2つの意味がある。 1つは地理的な、置かれた『最悪』の状況。私はよく使うが、世界で最悪な安全保障環境にあると言っている。つまり、核を持った3つのいわゆる敵対的な国、『中国』『北朝鮮』『ロシア』に囲まれている。なかなかこういう地理的な状況に置かれている国は他を見渡してもない」 日本を取り巻く環境には、不安を抱く県民も… (県民・70代) 「北朝鮮のキム・ヨジョンさんもかなり過激なことを言っているし、恐ろしいことが多い」 (県民・60代) 「本音を言うと、自衛隊が海外に行くところからさかのぼって賛成ではなかったので、あまり海外を挑発するようなことはしないでほしい」 Daiichi―TVが先週実施した視聴者アンケートでは、日本を取り巻く安全保障環境に対して、45%の人が「とても不安」と答え、多くの人が、危機感を抱いていることが分かりました。 一方で、身近な問題だと感じにくいという声も。 (県民・ 40代) 「最初のうちは、防衛とか必要だなと見ていて危惧することが多いが、身近な生活のことが苦しくなりすぎて、他の国のことを考える余裕が日本にはなくなってきているのかなと感じている」 安全保障を巡り、日本にとって一番の脅威とは何なのか? 専門家に聞くと…。 (キヤノングローバル戦略研究所 峯村 健司さん) 「一番喫緊で脅威だと見ているのは中国。中国の中でも中国が日本に直接攻めてくるというよりは、この『台湾有事』が、やはり日本がまず備えなければいけない最大の脅威だと、最大かつ可及的な喫緊の課題だという風に思っています」 中国が台湾統一に向けて軍事侵攻するシナリオを指す「台湾有事」。10月14日には、中国軍が台湾を取り囲む形で軍事演習を実施。台湾は中国の一部だとする中国側の主張を否定する台湾の頼清徳政権への圧力だとみられています。 (キヤノングローバル戦略研究所 峯村 健司さん) 「『台湾有事』になった場合」「台湾の周辺の海域は、重要な日本のシーレーン(海上交通路)。大体年間で言うと1万隻以上の船、日本関連の船が通っている超重要なシーレーンになる」「輸入に頼っている日本のエネルギーや食料にも影響が出てくるという意味では、巻き込まれる巻き込まれないではなくて、日本がもう直接被害者に、被害国になりうるという状況だというところが重要」 峯村氏は、その危機は、ごく身近に迫ってきていると指摘します。 (キヤノングローバル戦略研究所 峯村 健司さん) 「『安全保障』は遠い世界のイメージがあって、静岡の皆さんだけではなくて、多くの日本国民が関係ないか私はというイメージが、ミサイルとか戦車とか、そういうイメージがある。今の戦争は、例えばサイバーとか サイバー攻撃とかで、ドローンによる攻撃という形で非常に身近になってきている」 今回の衆院選は「政治とカネ」の問題が大きな争点となり、安全保障に関わる議論は多く交わされていません。 (キヤノングローバル戦略研究所 峯村 健司さん) 「安全保障に関して、あまり、こう、しっかりと語っている候補者がすごく少ない。政党も含めて少ないなと感じる。安全保障は、先ほど言ったように結構遠い話で、なんとなくこう票になりづらいところがあるが、やっぱり、そこは票になるかならないかではなくて、しっかりと国家の大戦略として安全保障にも語っている候補者かどうかというところは、見極める必要はある」 私たちの1票が日本の未来を守る。その意識をもって、候補者や政党の主張を聞く必要がありそうです。