「自分の走りはOLのブロックのおかげ」と話す法政大のエースRB 甲子園ボウルでは「OLを日本一にする」ため走る
アメリカンフットボールの学生日本一を決める甲子園ボウルは、2008年以来16年ぶりに法政大学(関東TOP8優勝)と、立命館大学(関西学生1部優勝)の組み合わせになった。法政大は、準決勝で甲子園ボウルを6連覇中だった関西学院大学を延長タイブレークの末に撃破し、弾みをつけている。ともにランニングゲームに強みを発揮してきた両チームにあって、法政大のエースRBを務めるのが廣瀬太洋(4年、駒場学園)だ。廣瀬はエースとして独り立ちした今年、リーグ戦での活躍に加え、関学大戦でもゲームMVPに輝く活躍を見せた。甲子園ボウルに向け、「法政のOLを日本一にする」と意気込む。 【写真】OLの背中と背中の間を、最短距離で駆け抜ける。「OLのおかげで自分のプレーも良くなる」と全幅の信頼を寄せる
大敗が続いていた関学に雪辱「本当にうれしい」
関東の地、スピアーズえどりくフィールドで関西学院大と対戦した準決勝は、激闘の末に法政大が制した。近年、甲子園ボウルの舞台で大敗が続いた相手への勝利は、法政大にとって大きな悲願。無論、廣瀬にとっても特別な意味を持つ。廣瀬は大学1年時と3年時に甲子園ボウルの舞台に立ったが、どちらも圧倒的な敗北を味わってきた。 「1年生のときはキックカバーで試合に出て、関学の強さを目の当たりにしました。3年生のときはRBとして出してもらいましたが、やはり大敗してしまい、ふがいなさだけが残りました。今回、関学に勝てたことは本当にうれしいです」 率直な気持ちを振り返る。この勝ちを喜ぶ一方、試合を通して感じたのは、法政大と関学大の雰囲気の違いだったという。 「今日の関学は、いつもと違って試合前のアップの時から覇気を感じませんでした。あと、初めてこっちで関学と戦うんですが、ホーム感が強すぎて。応援もすごく心強かったですね。いざ試合してみても『あれ?』っていう感じで、去年とは全然違う印象でしたね」 攻守ともに攻めの姿勢を徹底して、先手で試合の流れを握り続けることができた。ミスもあったが、チーム全体が自信を持ちながら戦うことができた。
自分のプレーは「OLのブロックのおかげ」
一方で、関学大のタックルは強烈だったという。「タックルの強さに関していうと、去年の甲子園よりも明らかに強く感じました。去年は、見て、見て、しっかりタックルしてくるという感じで、痛さはなかったんです。でも今年は狙い撃ちされるような鋭さがありました」 厳しいマークを受けながらも、強い意志で走る姿が印象的だった。「僕はオープンよりも、BOX内でのインファイトの方が得意なので、狭いスペースで敵を動かしながら走るのが好きなんです」。仲間のOLのブロックと、自らのステップを巧みに操りながら力強くゲインを重ねた。「OLのおかげで自分のプレーも良くなる」と語る廣瀬は、個人技ではなくチームプレーを大事にしている。意識しているのは、「自分の役割を徹底することに集中する」走りだという。4年目の今年、走りは力強さを増している。 関学に勝った一方で、本人は満足からは遠い様子だった。「全然ダメだったなというのが感想で、MVPをいただけたのはありがたいことですが、すごい違和感です(苦笑)。今日はディフェンスがめっちゃ止めてくれてたんで、『(ディフェンスの)誰かが取るのかな?』と思ってました」。結果に喜びつつも、自らのプレーには満足しない姿勢が、彼の向上心を物語っている。