アメリカで“女子スポーツ史上最大のメディア投資”が実現。米在住の元WEリーグチェアに聞く成功の裏側
新規参入チームが人気を牽引
コロナ禍の人気上昇と優秀な経営チームの参画によって生まれた流れを加速させたのが、華やかな新規チームの参入だ。 2022シーズンからNWSLに参入したサンディエゴ・ウェーブFCと、エンジェル・シティーFC。両チームは西海岸のカリフォルニア州を拠点としており、2023シーズンは2万人近い平均観客数を記録。いずれも、それまで圧倒的な人気を誇っていたポートランド・ソーンズFCを抜いた。 エンジェル・シティには1万6000 人以上のシーズンチケット所有者がいて、2万2000人収容のBMOスタジアムが毎回ほぼ満員になるという。本拠地はハリウッドのお膝元でもあるロサンゼルスで、100人を超えるオーナーグループの中には、女優のナタリー・ポートマンやテニスのセリーナ・ウィリアムズら、著名人やセレブも多い。 同クラブの年間収入は3100万ドル(約45億円)、クラブの資産価値は1億8000万ドル(約260億円)。そして、スポンサー契約は総額4500万ドル(約65億円)に上る。 なぜ、それほどの額を集めることができたのか? 岡島氏は投資家の一人で、同クラブの成功に大きく貢献しているキャラ・ノートマンに、その理由を聞いたという。 「彼女はベンチャーキャピタリスト(*)で、お金の集め方がすごく上手な方です。スポンサー料のうち、10%は必ずコミュニティのためや社会貢献活動に使い、イベントごとに全スポンサーの名前を出します、という約束で、スポンサーを広く集めたそうです。彼女はナタリー・ポートマンと組み、一番のスポンサーになったのはセリーナ・ウィリアムスの旦那さんであるアレクシス・オハニアン(インターネット起業家)でした。彼は『こんなに将来性があるスポーツに安く投資できるのは素晴らしい』と、喜んで投資したそうです。そのように、アメリカでは女子サッカーのファン層がセレブにも広がっています」 (*)成長が見込まれるベンチャー企業に投資を行うために資金調達をする人 すでに、2024年シーズンはユタ・ロイヤルズFCとベイエリアFCの2つのクラブが加わり、チーム総数が14になることが決定。2026年までには16チームへの拡大が予定されている。