トンネル掘削作業無人化へ…慶応大・大林組、遠隔充填した実火薬で発破に成功
慶応義塾大学の野崎貴裕准教授らの研究グループと大林組は、山岳トンネルの切羽(掘削面)での火薬の装填作業を遠隔化・自動化する「自動火薬装填システム」を使い、トンネル外から充填した実火薬による発破に成功した。今後、起爆用爆薬を供給する装置の搭載などを進め、現場に適用していく計画。各作業を自律学習させることでトンネル掘削作業を無人化する手法の確立も目指す。 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「官民による若手研究者発掘支援事業」の一環。遠隔で力触覚を再現する技術(リアルハプティクス)によって力触覚が伝わることで、切羽から離れた安全な場所から直接作業を行っているかのように火薬の装填作業を行える。実証実験で、同システムを長野県のトンネル工事現場に適用。装填ロボットを切羽から30メートル地点と、切羽から320メートル離れたトンネル外で操作し、火薬の装填、発破を行った。 遠隔装填はトンネル外のオペレーター室に設置したリモコン側と、トンネル内の切羽で作業する装填ロボット側との連携によって実施。大型重機で装填ロボットを装薬孔近くに移動した後、トンネル外のオペレーター室で装薬孔周辺を映したモニターを見ながら、リアルハプティクスでリモコンと装填ロボットの触覚を相互に再現し、遠隔操作による火薬装填に成功した。