「日本中の空き家を転々としながらのびのびと暮らす」彼の快活人生、家賃や生活費はどうしているのか?
その呼びかけに荒川区にある不動産会社の友人が反応した。 「1年半後に取り壊しになる予定があるアパートがあるけれど、それでどう?」 そのアパートを出る頃にはまた、同じように友人たちに空き家になっている物件はないか、しばらく使う予定がない物件はないか、取り壊し予定の物件はないかと尋ね、今度は目黒区に転居した。結婚して地方に移住した女性が短期だけ貸してくれることになり、家具・家電から食器その他家財道具が一式揃った家に1年半住むことになったのだ。
■現在は都内で「3軒目」の一軒家に居住 私たちは部屋を探すとなるとまず不動産会社と考えるが、空き家が増えつつある昨今、聞いてみると誰かしら空いている空間を持っていたりするもの。一定期間居住後に確実に返してくれるという信頼関係があれば、当座そこに住むことは可能なのかもしれない。 現在、東京での本拠地としている23区西部の一軒家もそうやって探した3軒目。古くからの友人の親戚が住んでいた家で、本来の主は高齢者施設に入所しており、空き家化していたもの。
それを自分で残置物を処分し、できるところは友人たちと一緒に手を入れた。初期費用を嶋さんが負担したことから、家賃は一般よりも安くしてもらっているという。 家具・家電はほぼ全てがもらいもの。テレビや冷蔵庫、オーディオ機器やソファ、食器棚、足裏マッサージ機(! )までもらったというから驚きだ。広く声をかけてみると使わない何か、捨てる予定の何かを持っている人は多く、もらってくれるなら捨てるよりましとそうした品が嶋さん宅へ集まった。モノを捨てるにもお金のかかる今、欲しい人がいるならあげるよという人は少なくないのだ。
現住居は1階に2部屋+キッチンと水回り、2階に3部屋と一人暮らしには広すぎる家だ。が、前述したように地域商品の開発や、プロモーションなど地方を回る仕事をしていたため、上京してくる関係者も多く、そうした人たちとの宴会や宿泊など広さは無駄になっていない。都心の宿が高騰する中、空いている部屋を無料で提供することで人間関係は広がり、深くなった。 次の転機になったのは定年退職。一昨年、60歳ですっぱりと会社を辞めてフリーランスになったのだ。