12月の中国粗鋼生産、25カ月ぶり7000万トン割れ。1日当たりは7年ぶり低水準・暦年では前年比横ばい
中国・国家統計局が17日に発表した昨年12月の工業統計によると、粗鋼生産は前年同月比14・9%減の6744万トンだった。1~2月は累計で示されるため月次内訳が不明だが、月産7千万トン割れは2021年11月以来となる模様。1日当たりの粗鋼生産は217万5千トンで、2017年1~2月以来の低水準とみられる。 前月比では、営業日数が1日多いにも関わらず866万トンもの大幅減となり、1日当たりでは15%減と異例の高い減少率となった。 粗鋼以外の鉄鋼生産は、高炉での生産が反映される銑鉄が前年同月比11・8%減の6087万トンで3カ月連続の7千万トン割れ。鋼材は1・5%増の1億850万トンだった。 2023年の暦年生産は、銑鉄が前年比0・7%増の8億7101万トン、粗鋼が横ばいの10億1908万トン、鋼材が5・2%増の13億6268万トン。中国政府は前年の粗鋼生産を超えないよう求めていたとされ、上期の増産から一転して年末にかけての急減産により帳尻が合った形になる。同様の動きは政府の強力な減産指令が出ていた22年12月にも見られた。 ただ昨年2月末に出された「統計公報」では22年の粗鋼生産を10億1795万9千トンとしており、この比較では「0・1%増」となる。ただ今回の統計局発表は「0・0%」となっており、微妙なズレがあるなど不自然な印象は拭えない。 中国鋼鉄工業協会(CISA)の集計では1月上旬に粗鋼生産は再び急増している。足元では旧正月(春節)前の不需要期で中国の鋼材市況は軟化しており「減産」の効果も実感し難い状況だ。 昨年12月の新エネ車/生産、過去最高114万台 鉄鋼以外の昨年12月の工業統計では、自動車生産が前年同月比24・5%増の304万台となり5カ月連続で増加した。月産300万台は2017年12月以来。当時は自動車取得税の減税打ち切り前で生産・販売が押し上げられたが、今回のけん引役は電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)を合わせた新エネルギー車(NEV)。NEVの生産台数は43・7%増の114万1千台に達し、前月に続いて過去最高を更新した。 他の車種では、乗用車が17%増の111万3千台、SUVが29・5%増の116万9千台。このほかコークス生産は4・8%増の4128万トン、発電量は8%増の8290億キロワットだった。 23年の暦年では自動車生産が前年比9・3%増の3011万3千台。うち乗用車は4・2%増の1086万3千台、SUVが10・5%増の1183万2千台、NEVが30・3%増の944万3千台。NEVは過去最高を記録し、自動車生産の3割近くを占めた。コークス生産は3・6%増の4億9260万トン、発電量は5・2%増の8兆9091億キロワットだった。