米倉涼子×岸部一徳『ドクターX』12年の絆「最後まで筋を通すことができた」
■本当は、ずっと大門未知子を演じていたい
――連続ドラマの7シリーズやスペシャルドラマには、大地真央さん、市村正親さん、野村萬斎さん、吉田鋼太郎さん、三田佳子さん、北大路欣也さん、岩下志麻さん、草刈正雄さん、泉ピン子さん、ビートたけしさん(順不同)ら、出演者もずっと豪華でしたよね。 【岸部】本当にすてきな方々がたくさん出てくださいました。 【米倉】第1シリーズで終わりだと思っていたけど、第2シリーズを「やりましょう!」となり、第2シリーズが終わるときも「これが最後だ」という気持ちで終わった後、しばらくして第3シリーズをやることになって…、というのをずっと繰り返してきたんですよね。しかも、新シリーズが決まるたびに「えー!この方が出て下さるの!」と驚くことばかりで。 【岸部】皆さん、全力でしたよね。 【米倉】私たち、かなり威圧感があったみたいです(笑)。緊張して手が震えている新キャストの方を見たこともあります。こちらも同じくらい緊張していたんですけどね。シリーズものだけど、中だるみすることなく、続けることができたのは、新キャラクターを演じてくださった方々のおかげです。皆さんが“大門未知子”をつくってくださったんだと思います。すてきな方々と共演できたことは、私にとっても宝物です。 ――『ドクターX』は専門的な医療シーンと人間ドラマのバランスが絶妙で、劇場版ではそれが際立っていたように思います。 【米倉】未知子が心臓マッサージをずっとやり続けるシーンがあるのですが、周りから止められても、「まだ、生きている!」とやり続ける、そこに未知子の医師としてのプライド、医師としてやらなければならないことを表現できたと思います。最後まで未知子として筋を通せたことは良かったと思います。 【岸部】いつの時代にも医療の限界はありますよね。晶は師匠として、不可能とされている難問を解決して新たな道を切り拓いてほしいと、自分が知る限りのあらゆる医療技術を未知子に教えたんですよね。医療の未来を託したんだと思います。未知子もまた、将来の医療技術の進歩に希望をつなげる。『ドクターX』は楽しいところもたくさんありますが、医療の一番大事なところもしっかり描いていたと思います。 ――”失敗しない”大門未知子はどのようにして生まれたのか、そのルーツにせまるところも見どころですね。 【米倉】私は小さい頃からバレエを習っていたのですが、思うように成果を出せず、モデルの道に進みました。でも、モデルもこれで良いのかと思うところがあって、今度は役者の道に進みました。振り返って思うのは、練習するとか、耐えるとか、続けるとか、あきらめないとか、目標を持つとか、そういったことが自分自身を成長させ、充実感を得るために欠かせないものだということです。 今回の作品を私の甥っ子が「見に行きたい」と言ってくれました。子どもでも楽しめる内容だと思いますし、若い頃の未知子と今の未知子を見て、「努力して、成長すれば、すごい医者になれる可能性があるんだ」と感じてもらえる、前向きなストーリーになっていると思います。 ――本作を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。 【米倉】Yo Nunca Fallo(スペイン語で「私、失敗しないので」)。 【岸部】とにかく見てもらいたいです。 【米倉】西田敏行さんの最後の作品でもあります。一徳さんも“未知子”のために撮影でいろいろ頑張ってくださり、晶さんが画面に出てくるだけで一人泣きしちゃいます。 ――最後に一つ、米倉さんにとって「大門未知子」とは? 【米倉】大門未知子は切っても切り離せない米倉涼子の一部です。本当は、ずっと演じていたいです。大門未知子という名前が自分の人生から外れてほしくないという思いがあります。 撮影:山崎美津留(※崎=たつさき) 米倉涼子 ヘアメイク:奥原清一、スタイリスト:栗田泰臣 岸部一徳 ヘアメイク:内野晶子、スタイリスト:竹川隆