とんかつ屋で「脂を取り除け」と無理難題…“お客様は神様”が生んだ「カスハラ客」のヤバすぎる実態
とんかつの「脂を取り除いて」と無理難題
カスハラは、さまざまな業種業態で存在し、特に飲食店や小売店など接客業において問題となっている。以前、コンビニで客が一方的にクレームをつけ、店長と店員を土下座させている動画が拡散されたが、こういった類の動画はYouTubeで出回っており情けなく思う。 ある定食チェーン店に行ったら、「この店はやってくれんの? サービス悪いな。他の店ならやってくれるのに、頭固すぎるわ」と店員さんに文句を言う中年女性に遭遇した。聞くと、豚カツ定食で脂を取り除いて提供するように要求したようで呆れる。 店員さんが断ったため、よほど気に入らなかったのか、その後も他の客に聞こえる声で店に対する罵詈雑言を続けていた。少しのことなら店側も客の要望に応えるだろうが、ちょうど昼のピーク時であったこともあり、その無理難題に対応できなかったのだろう。 自分は常連だからと、わがままを言いたい放題の勘違い客もおり、自分の食卓と勘違いする人もいる。許容限度をわきまえた上で、店に迷惑をかけずに食事をしてもらいたいものだ。
真心あふれるおもてなしにも限度
日本のサービス業においては、真心あふれるおもてなしといったホスピタリティ精神は当たりまえ、些細なことや小さなミスもすぐに謝罪するのは当然といった「お客様は神様」的な風潮がある。こうした日本のサービス文化が「カスハラ」を生んだ背景もあるので、過剰な接客などの線引きは難しいとは思う。店によりサービスレベルが異なるので基準は様々だが、再考する余地はあると思う。 業歴の浅い飲食店では、売上を早く軌道に乗せ売上を安定させるためには、常連さんなど固定客の確保が重要になる。そのために客に低姿勢になり、客の方が優位になるケースは多い。2割の固定客が売上の8割を占めるという「パレードの法則」の意識を持つ店主が陥りやすい。 固定客の選定における鑑識眼が必要だ。店を中長期的に支えてくれる優良顧客を組織化して顧客基盤の盤石化に力を入れてほしいもの。そして、カスハラ客が入りにくい店の雰囲気を醸成できたら最適だ。