田原総一朗氏「衆院選、自公過半数割れなら石破降ろしも」
石破茂首相は10月1日に首相に就任すると9日に衆議院を解散。石破内閣の発足から解散までの日数はわずか8日であり、これは戦後最短である。衆院選は15日に公示され、27日に投開票となる。 今回の衆院選のポイントは大きく2つある、と僕は見ている。 1つは自民党派閥のいわゆる裏金問題だ。自民党は裏金問題に関係した議員のうち一部を非公認としたものの、かなりの数の議員を公認しており、これがどう影響するか。もう1つは石破氏の政治姿勢だ。ほんの少し前まで「与野党での論議」を強調していたが、いざ新内閣が発足すると、8日で衆議院を解散しており、これがどう判断されるか。 自民党にとっての勝敗ラインはいくつかの段階に分かれるだろう。与党が「議席減をどこで食い止めるか」だ、と僕は見ている。 衆院465議席のうち、公示前勢力で与党の自民党は247議席、公明党は32議席で合わせて279議席だった。自民党にとってはやはり単独で過半数の議席獲得が望ましく、具体的には233議席を超えることだ。これが勝敗の第1の目安になるだろう。 難しい場合には自民党、公明党で引き続き過半数の議席を確保することが第2の目安になる。これならばこれまで通りの形で政権運営ができるからだ。ただ、これも難しい場合には、党内から「石破降ろし」の動きが出てくる可能性があるだろう。野党にとっては、与党を過半数割れさせられるかがポイントになるだろう。長く政治の現場を見てきたが、今回の衆院選はロッキード事件の糾明で揺れた1976年の衆院選などに似たムードがあると感じている。 ●国内外で課題が山積 衆院選後、政権が取り組まなければならない課題は山積している。 内政では日本経済の活性化が急務だ。物価に比べて上昇の鈍い賃金、非正規雇用比率の高さなど、様々な問題を解決する必要がある。 外交では安全保障が鍵だろう。日本は今、日米同盟を軸にしつつ、安全保障に主体的に取り組もうとし始めている。ただ、現在は米中対立の時代である。例えば台湾有事のとき、日本がどう対応すべきか一つをとっても大問題である。日本にとって中国との関係をどう築くかは、外交上の最重要テーマだ、と僕は思っている。 世界を見渡せば、ロシアのウクライナ侵略、中東情勢の悪化など、世界は「新しい戦前」とも呼ばれるほど、混迷の度を深めている。衆院選を経て発足する政権には、ますます高度なリーダーシップが求められるだろう。
田原 総一朗