8割が耕作放棄地…かつて米どころとして名を馳せた「千町の棚田」守るために必要なことは
南海放送
シリーズでお伝えしている「千町の棚田」物語。かつて東予の千枚田と称された愛媛県西条市の棚田で保全活動に奮闘する人たちがいます。稲の成長とともに、活動の輪も広がってきています。
棚田を守るために奮闘する高校生たち
今年6月。田植えの季節を迎えた西条市、千町の棚田。 10年前から保全活動を続けている、西条農業高校の通称「棚田チーム」。かつてこの場所で多く作られていた“農林22号”、コシヒカリの親にあたる品種の苗を植えていました。
標高150mから500mにかけて広がる、千町の棚田。かつては県内有数の米どころとしてその名を馳せていましたが、過疎と高齢化で荒廃が進み、2500枚ほどあった棚田のおよそ8割が、耕作放棄されています。 稲の栽培と合わせ、“棚田を知ってもらう”取り組みを続けてきた西条農業高校、「棚田チーム」。少しずつ、その成果が表れ始めています。
棚田に新たなシンボルを
エジプトやタイなどで活躍するベトナムの彫刻家、チャン・バン・アンさん。「棚田に新たなシンボルを作ろう」と今年4月に千町を訪れ、創作活動を行いました。 チャンさん: 「(千町は)山の絶景があり、穏やかな雰囲気を感じる。緑がすごくきれいだと思う」
地元の岩を使って制作した彫刻…石鎚の山々と西条のうちぬきをイメージした作品が出来上がりました。
空き家をリノベーション 海外からも訪れる宿泊客
地区に暮らす人たちも、人を呼び込むための工夫に取り組んでいます。 山内さん: 「もう100年以上になってるからね。見てくれは大したことないけど、中はきれいにリフォームしてあるんで」 生まれも育ちも千町地区の山内隆彦さん、68歳。今年、空き家をリノベーションして宿泊もできる体験ハウスをオープンさせました。棚田の景色を楽しんでもらおうとヒノキ風呂も完備しています。
山内さん: 「おーい、おはようデニス」 オータムさん: 「おはよう」 山内さん: 「よく眠れた?」 デニスさん: 「うん、とてもよく眠れた」
この日のお客さんは、ニュージーランドから来たという2人。去年初めて日本を訪れ、改めて日本の文化にふれたいと再来日しました。 Q.なぜ千町に来た? デニスさん: 「静かで山があって何もなくて昔の写真を見たり記事をみたりしてここに来たんだ。すごく歴史を感じる」 オータムさん: 「理想的な場所。とても静かですごく心落ち着ける場所で」 デニスさん: 「日本でもこんな田舎を知っている人は少ないかもしれないけど「田畑を耕したり大自然の中で昔ながらの生活を営むことができる場所。千町には日本の原風景というべき風景が広がっています。