<U-20W杯>V候補ウルグアイに完敗した日本に足りなかったモノ
90分を通して見れば、決定機の数は日本のほうが少し上回っている。後半、相手を押し込んでいたのも日本のほうだった。 だが、善戦したという印象はない。後半のアディショナルタイムに追加点を奪われて0-2で敗れたが、0-1のままでも完敗という印象に変わりはないだろう。それくらいの差があるように感じられた。 韓国で行われているU-20ワールドカップ。グループステージ初戦で南アフリカを2-1で下した日本は5月24日、ウルグアイと対戦した。 ブラジルが5位で敗退した南米予選を1位で通過したウルグアイは、今大会の優勝候補の一角に数えられている強豪だ。 センターフォワードのニコラス・スキアパカッセはスペインのアトレティコ・マドリーに所属するストライカー。大会屈指の司令塔との呼び声があるMF ロドリゴ・ベンタンクールは大会終了後にイタリアの名門、ユベントスへの移籍が決まっている。 そんなタレント軍団が個の能力を発揮してボールを支配し、日本を圧倒してきたのかというと、そうではない。 日本にボールを持たせておいてミスを誘おうとしたり、自陣に日本を引き込んでおいてカウンターのチャンスを虎視眈々と狙ったりしている。 パスをつないで攻め込んでいるのは日本だから、「やれるじゃないか」と錯覚してしまうかもしれないが、それこそが、南米のチーム特有のしたたかさ、駆け引きなのだ。 つまり、20歳以下の選手たちでも、ウルグアイはウルグアイ、なのだ。 先制点も突然、奪われた。 前半38分、ロングフィード1本で左サイドバックの舩木翔が裏を取られ、センターバックの中山雄太がカバーに向かう。そこでスキアパカッセに繋がれると、中山のタックルがかわされ、冨安健洋のカバーの甲斐なく、逆サイドネットに正確に叩き込まれてしまった。 これには中山も「立ち上がりは自分たちのほうに流れがあったのに、ワンチャンスで決められてしまった。詰めが甘かった」と反省するほかなかった。 ダメ押しゴールとなった2失点目も、ウルグアイの左サイドバックであるマティアス・オリベイラがこの時間であっても爆発的なランニングで藤谷壮のマークを振り切り、スルーパスを受けてフィニッシュした。 「あそこで走り抜く体力を付けないとダメだと思った」と藤谷は嘆いたが、体力というよりも判断の問題だろう。90分間全力でプレーする必要などなく、いつ温存して、いつ出力するか――。ウルグアイは勝負どころが分かっていたのだ。