キリンHD副社長坪井純子氏に聞く 女性経営職人材が約3倍に増えた「早回しキャリア」とは?
堀江:2009年にはKWN推進委員から経営陣への提言が行われ、ワーク・ライフ・バランスサポート休業制度、自己都合退職後に、再入社して働くことができるキャリアリターン制度、2013年には在宅勤務制度の拡充などさまざまな制度が整備されてきました。同年、2021年長期経営構想として「KWN2021」が策定され、転勤の多い御社では、育児や介護の期間中、最大5年間は転勤を回避できる転勤回避措置なども取られていますね。 坪井:長期的にアサインメントしていくということをやっていきました。2014年には4%ほどだったグループの女性経営職(課長職相当)は現在13.6%になっています。これからは、意思決定層、つまり役員を増やしていく段階です。 堀江:若手(入社3年目)から中堅社員に対して「キャリアワークショップ」や「キリン・ウィメンズ・カレッジ」「Future Female Leader Training」など、ワークショップを開催されるなど、女性活躍推進を切れ目なく行っていると思いますが、特に効果があった施策は何でしたか。 坪井:最初は、経営職を増やすことを行っていっていました。ライフイベントがあるないに関わらず経営職を増やす為には「早回しキャリア」がとても有効でした。若い内から一皮むける経験を行うことが重要だと思っています。 堀江:早回しキャリアというのは、性別関係なく重要だと思います。しかしながら、社内には「経験資産」がそこまで多くなく、経験をさせていく事自体も難しいと言われることもあると思いますが、どのように対応されているのでしょうか。 坪井:まずは2014年頃から上司のアンコンシャス・バイアスを払拭する、マインド改革事から始めました。経験はあくまで異動だけではないので、「女性だからこの仕事はさせられない」「育成をしない」のではなく、上司が長期的に見て自分の実施していることを少し下ろしていき、部下に意識的に経験をさせていくように意識付けていくようにしました。 元々3-5年で異動を行う会社なので、異動の時やアサインの時などに、意図的に早めに行っていくなどを、人材育成計画の方針として打ち出していくようにしました。このような施策を行う事によって、2013年4%から2021年11%、2022年13.6%と経営職の女性が増えました。着実にプール人材を育成することで、しっかりと押し上げられてきています。
堀江 敦子