投資の神様バフェットはなぜ「株式」ではなく「債券」を選んだのか…金利ある世界でたどり着いた新たな大正解
日銀が利上げを、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを表明するなど、日米の金利を取り巻く状況は大きく変化しつつある。とはいえ、長らくゼロ金利が続いていた日本において、「利上げ」は結局何を意味するのか。人気ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が、“金利ある世界”の最適解を解説する。 ※本記事は深野康彦著「金利で損しない方法、教えてください!人気FPが教える金利上昇時代の『お金の新ルール』」(扶桑社)から抜粋、再構成したものです。
保険商品が“お得”に変わる
――金利が変わると、そこまで大きな変化が起こりますか? はい。なぜなら、金利とは、ありとあらゆる金融領域に関係するからです。銀行預金や住宅ローンがわかりやすいですが、ほかに株価や保険などあらゆる金融商品やサービスにも徐々に影響が出てくるはずです。 ――保険や投資も考え方を変えなきゃいけないんですか!?保険はあくまで保障のためで、金利を意識して選んでなんていなかったです……。 保険の場合、今までは「保険を投資先と考えるのはNG」と言われてきましたよね? 保険会社は預かった掛け金(保険料)の一部を債券などで運用し、保険会社ごとに「予定利率」を決めて運用利回りをアピールしてきましたが、これまでは予定利率があまりにも低かったのでそれを投資(運用)と考えるのは効率が悪い、と。 ――生命保険の営業が使うアピール方法ですよね。「10年後には◯万円増えています」とか、「それでいて一生涯保障が続きます」と薦めるやつ。でも、結局はたいして増えないから、保険に預けるお金があるなら投資信託などを買ったほうがいいと思っていました。 それが、金利上昇局面では〝得する商品〞に変わるかもしれません。保険会社が掛け金の一部で運用する債券などの利回りが上昇して運用利回りが改善し、そして「予定利率」が引き上げられるからです。
「リスクを抑える」戦略が最適解
――なるほど、保険商品でも高利回りのものが出てくるのか。 実は、高金利局面だった1990 年頃の生命保険には、予定利率が高い「お宝保険」と呼ばれる商品がありました。当時は日銀の政策金利も高く(6.0%)、また高利回りの債券がたくさんあったので、予定利率も今では考えられないくらい高かったんです(ピーク時は6.25%)。保険に入って放っておくだけで、保障を確保しながらお金をかなり増やすことができたんです。 でも、2000 年代以降に契約した保険の場合、高利回りで運用できる金融商品が徐々に減ってしまった。それゆえ全体的に予定利率が低下していき、もはや運用に値する商品ではなくなってしまったのです。 ――保険を買っておくだけでよかったなんて、なんていい時代だったんだ……。 保険だけでなく、ざっくりですが、金利上昇が各商品に与える影響は図のような感じですね。 ――なるほど、金利って本当にすべてに影響を与えるんですね……。 大丈夫。そんなに難しく考える必要はありませんよ。大雑把に言えば、これまでは金利を無視して「なるべく株式などに投資して資産を増やす」が正解でした。しかし、これからは金利を活かしながら、「リスクを抑えながら資産を増やす」のが正解になってきます。 ――リスクを抑えながら資産を増やす……。そんなことが本当にできるんですか? できますよ。それが金利の力です。今の日本人は、超低金利に慣れすぎてその力を忘れてしまっているだけなんですね。低金利時代には低金利時代のお金の常識、金利上昇局面では金利上昇局面のお金の常識がある、というだけなんです。
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