ロッテ・八木彬が明かす「汚い真っ直ぐ」を投げるようになった理由
ロッテの八木彬が“汚い真っ直ぐ”と表現する動かすボールを投げるようになったことで、投球の幅を広げた。 八木はオープン戦から力強いストレートを投げ込み、4月17日に取材した時には「去年とかより球も結構強くなりました」、「やってきたことがちょっとずつできているかなという印象で、それができたら当然150キロを超えてくる考えでやっていた。その通りに行っているかなと思います」と手応えを掴んでいた。 4月7日に一軍昇格し最初の2試合は3人で片付ける投球を披露したが、4月19日の日本ハム戦では3-1の7回に登板するも、レイエスに一発、水野達稀に適時三塁打と2点を失い、翌日に一軍登録抹消となった。 一軍での経験を踏まえ、5月21日の取材で、ストレートに関しては「通用するなと思ったんですけど、ストレート1本だと無理だなという感じですね」とストレートのみで一軍の打者と勝負するのは難しいと実感。 同時期はファームでストレートで押すパワーピッチングが目立ち、「右バッターのインコース、自分のピッチングを幅を広げるためにインコースを使ったりというところをやっているので、真っ直ぐが多くなっているという感じですね。今までは真っ直ぐでファウルを打たせてフォークで三振を取るパターンだったので、真っ直ぐが多くなっているという感じです」と課題を持って取り組んでいた。 そんな中で、先発に配置転換になってから右打者のインコースにストレートではなく、ボールを動かしているようにも見える。八木は「汚い真っ直ぐという感じですね」と意図して、ボールを動かしているようだ。 5月21日取材した時には右バッターのインコースで投げていきたいと話していた中で、現在は「他の変化球を活かしていくように右のインコースというところを攻めていっています」と明かした。 右打者のインコースにきれいな真っ直ぐではなく、汚い真っ直ぐにした理由はなぜなのだろうかーー。 「前の真っ直ぐは怖さがないというか、強さがあるけど怖さがない。綺麗すぎると感じだったので、もっと球的に汚く、変化してやった方が打ち取れるんじゃないかなと二軍監督に言われてそれでやってみたらハマったみたいな感じです」。 ファームでは7月17日のDeNA二軍戦以降、3試合連続で先発を務めたが、8月7日の西武戦では7回を投げ98球と少ない球数で長いイニングを投げた。「ゴロアウト、打たせて取ることに関しては球数少なくできてきているのかなと思います」と本人も好感触を掴む。 ファームで先発を経験したことで、「先発は5回、6回をどう投げるかという感じで、それが意外と力を抜ける感じというか力まず前回の試合も行けたかなと思います」と投球の幅が広がった。 汚い真っ直ぐを投げるようになったことで、変化球も活きるようになった。武器にしているフォークは「汚い真っ直ぐが活きているぶん、結構決まって空振りを取れているんではないかなと思います」と自己分析。 スライダーについても「大したことないんですけど、汚い真っ直ぐを見せているぶん、曲がるスライダーというのは、意図的に使えているかなと思います」と語った。 8月18日のソフトバンク戦では0-2の8回に登板し、「インコースで勝負してみたいないうところで、勝負しました」と、1回を無失点に抑えた。山川穂高にはインコース攻めで、1ボール1ストライクから3球目のインコースのストレートで三ゴロに打ち取った。 残念ながら8月20日に一軍登録抹消となってしまったが、ファームで取り組んできた成果を一軍の舞台で発揮することができた。今後の投球に期待したい。 取材・文=岩下雄太
BASEBALL KING