『おむすび』橋本環奈と仲里依紗がついに激突 物語は本質=“神戸のこと”へ踏み込む
パラパラダンスを通じて、「博多ギャル連合(通称:ハギャレン)」のメンバーたちと絆を深めている結(橋本環奈)。ギャルに対する偏見も薄れてきた頃、ギャル嫌いになる原因を作った姉・歩(仲里依紗)が帰ってくる。『おむすび』(NHK総合)第4週が幕を開け、仲里依紗演じる歩が満を持して本格登場。そのインパクトの強い存在感は糸島の住民、そして視聴者の間でも話題持ちきりとなった。 【写真】横暴に振る舞う歩(仲里依紗) 東京に出たきり、ほぼ音信不通の状態だった歩。唯一たまに連絡を取っていた愛子(麻生久美子)にも告げず実家に戻ってきたため、結たち家族は戸惑いを隠せない。だが、当の本人はしばらく帰ってきてなかったことを感じさせないくらい実家でリラックスしたり、かと思えば田舎の不便さを小馬鹿にしたりと横暴に振る舞う。 そんな歩を叱るどころか、まともに声すらもかけられない様子なのが聖人(北村有起哉)だ。もともと福岡の有名なカリスマギャルで、結がハギャレンのメンバーから見せてもらった写真には派手な姿で映っていた歩。しかし、現在はその喋り方に若干の名残はあれど、ヘアスタイルは金髪から黒髪に変わっており、メイクも大人しめでパッと見はギャル時代の面影がない。 その見た目の変化を受け、東京で何があったのか、なぜいきなり実家に戻ってきたのかと本当は問い詰めたいが、何も聞けない聖人。永吉(松平健)は男か借金取り、あるいは警察に追われているんじゃないかと邪推し、佳代(宮崎美子)に怒られる。だが、それは全くの妄想とは言えず、歩は家族にもし自分宛の電話が来ても「いない」と言うように指示し、夜中には携帯に何度も電話がかかってきているのに無視し続けていた。 ハギャレンのメンバーが大興奮だったあのギャル部屋にも頑なに入ろうとせず、どこか自分の過去を消し去ろうとしているようにも見える。家族の前で見せるわがまま娘っぷりと、結の部屋で一人物思いに耽る姿はまるで別人のようで、仲里依紗のコントラストのある演技に引き込まれた。 外にもサングラスをかけて出かける歩だったが、伝説のギャルとして語り継がれている彼女を地元の人たちが見過ごすはずもなく、田舎の情報網で噂が一気に広まる。学校ではまたもや結の担任・松原(長谷川忍)がみんなの前で歩が帰ってきていることをバラしたため、“リサポン”こと理沙(田村芽実)も知ることに。そこから他のハギャレンメンバーにも連絡が行き渡り、彼女たちは歩に一目会おうと結の実家に押しかけてくる。いつもは誰に対してもとびきり明るい彼女たちが憧れのギャルを前に緊張し、大人しくなっている姿はとても愛らしい。 だが、そんな自分を慕ってくれる子たちに歩は冷たい態度で接する。糸島フェスでパラパラを披露し、ハギャレンが全盛期だった頃の勢いを取り戻そうとするルーリーこと瑠梨(みりちゃむ)に「ギャルとかもうやめなよ、ちょーダサいから」「ハギャレンって死ぬほど恥ずいからとっとと潰しちゃいな」と言い放つ歩。ショックを受けて言葉を失っているルーリーたちに代わって、歩に「それはひどくない?」と一言物申すのが結だ。 けれど、歩は反省するどころかお人よしな妹をこき下ろし、ついに堪忍袋の緒が切れた結はこれまでの不満を全てぶちまける。結が嫌いだったのはギャルじゃない。何が原因なのかはわからないが、散々好き勝手して周りに迷惑ばかりかける姉だった。だからこそ家族に心配をかけないようにいい子でいようとしてきたのに、そんな自分を否定され、一気に結の中に湧き上がってくる複雑な感情を橋本環奈の涙の演技で表現される。 一方で、結と歩は反発し合いながらも同じ傷を共有しているみたいだ。「辛かったのはお姉ちゃんだけやない。うちだって辛かった。苦しかった。悲しかった。神戸のことも、真紀ちゃんのことも」と言っていた結。事前に告知されていたように、“神戸のこと”とはおそらく阪神淡路大震災のことだろう。では、名前が出てきた“真紀ちゃん”とは一体誰のことなのか。最初の3週は結の身の回りで起きる日常的なエピソードが続いたが、いよいよ今週からは物語の本質に入っていきそうだ。
苫とり子