ラリージャパンの影の主役は勝田貴元! クラッシュからの「10回のSSウイン」で衝撃の速さを見せつけた
鳥肌が立つような攻めの姿勢で5位入賞の勝田貴元
WRC第13戦「フォーラムエイト・ラリージャパン」が11月16~19日、愛知県・岐阜県で開催。エルフィン・エバンスがシーズン3勝目を獲得したほか、セバスチャン・オジエが2位、カッレ・ロバンペラが3位につけるなど、ホームイベントに挑むトヨタGAZOOレーシングWRTが1-2-3フィニッシュを達成したのだが、筆者から見れば2023年の日本決戦は、やはり、日本人ドライバーとしてトヨタの4台目のGRヤリスRally1ハイブリッドで5位入賞を果たした勝田貴元が主役だった。そう思えるほどに、勝田は今大会でスリリングな戦いを演じていた。 【写真】見た目はGRヤリスだけど中身は完全なレーシングカー! Rally1車両ってどんなクルマ? 勝田のドラマチックな戦いはデイ2のSS2から始まった。既報のとおり、勝田は同ステージでクラッシュを喫し、33番手タイムでフィニッシュ。マシンのフロントまわりを破損したことから、勝田は続くSS3を18番手タイムでなんとか走り切ったが、多くのファンがこの波乱の幕開けを残念に思ったことだろう。 もちろん、筆者もそのひとりだが、同時に勝田のSS2のチャレンジに、「勝利に対する決意」が感じられた。思い起こせば一年前、2022年のラリージャパンで勝田は最大のリスクを持って結果を求めていく……と宣言していたが、どこかでセーブしていた部分があったのだろう。その結果、デイ1で出遅れ、最終的には3位で表彰台を獲得したが、ついに勝田は最後までトップ争いに加わることができなかった。 勝田にはこのときの悔しさがあったに違いない。果たして1年越しのラリージャパンで勝田は実質的なオープニングステージとなるSS2から「勝つための勝負」にチャレンジしたのである。 金曜日のデイ2、とくにファーストループは視界を遮るほどの豪雨に祟られ、ステージのいたるところでハイドロプレーニングが起きるほどの状態だった。ヒョンデ・シェル・モビスWRTのエサペッカ・ラッピも「こんなに難しいターマックラリーはほかにない」と語るほど過酷なコンディションで、まさにドライバーにとって、SS2、SS3はタイトロープを駆け抜けるような感覚だったに違いない。 そこで勝負に挑んだ勝田は、前述のとおり、限界を超えてしまいコースアウトを喫したが、そのファイティングスピリットは午後のループでも衰えなかった。
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