“フォトゴルファー”阿部未悠が石川遼のスイングをパシャッ!/もし女子プロが男子プロを撮影したら(前編)
石川はティイングエリアでカメラを構える阿部を見つけると、撮影のためにドライバーを敢えて2球打つなど新人カメラマンへの配慮を見せていた。そんな憧れのプロが被写体とあって、阿部は「緊張してなんかついつい引き(人物のアタリが小さくなる)の写真になっちゃう」と攻めきれない。 それでもホールを重ねていくと、「石川プロはドローヒッターだから、たぶん左側に立ってあの木を狙って回してくるんじゃないかな」と先回りしてターゲットと弾道を予測。「今のいいの撮れた!」と手ごたえのある連続写真撮影に成功した。
阿部は石川のスイングをカメラのモニターでチェック。「トップの位置とか本当に変わりましたよね。今はどういう意識で振っているんだろう。特に切り返しの辺りとか気になるなぁ」。さらに2人の練習ラウンドをつぶさに観察し、「男子ってほんとグリーン周りに時間をかけますよね。女子はここまで時間をかける人は少ないなぁ。私ももうちょっとアプローチやろうっと」と本業の肥やしにしていた。
ホールアウト後、阿部は石川に連続写真の画像を見せながらいくつか質問を重ねた。「私いつも体重移動で悩むんです。右にいって、左に乗り遅れるのがすごく嫌だなと考えたり、でも最初から左にいていいものなのかなとか考えたり…。でも石川プロはすごく軸がブレないから体重移動ってどうやって意識しているんだろうなって」 石川は「体重移動はわずかにしているとは思いますけど、横の移動というよりは、円で考えていますよ。トップで右のかかと、ダウンでちょっとだけ左に行って、左足つま先に乗った時にインパクト、フィニッシュで左のかかとっていう具合に。体重移動も3Dですよね」と身振り手振りで解説した。
阿部は「なるほどだからあんなに横ブレが無いのか。体重移動しているように見えないのは円運動しているからなのか」と深くうなずく。 さらに「それだとドローとフェードも回転の中で球筋を変えているんですか?」と質問。石川は「そうそう。円運動の中で、こっち側(体の右サイド)で当たればドロー。フェードだとインから入ってインに戻るときに当たる。体も右肩を下げたりとかはあまり考えてなくて、けっこう水平を意識していますよ」。
プロゴルファー同士の会話はだいぶディープな方向にヒートアップしていく。…ちょっと待って阿部カメラマン、今日のミッションを忘れてないかい?完全に女子プロに戻っちゃって。この後の撮影まだまだあるんですけど…。 2人の会話が終わりそうにないので、前編の今回はこのあたりで。(東京都稲城市/服部謙二郎)
服部謙二郎