もてなしの“サプライズ”と皇后さまの笑顔にあふれた両陛下のインドネシアご訪問【皇室 a Moment】
印象をひと言で言いますと、“大渋滞の国” “若い人であふれる活気ある国” “笑顔の国”でした。首都ジャカルタは近代的な高層ビルが立ち並んでいますが、その街がどこも車やバイクであふれて大渋滞していました。しかし一本裏の通りに入ると、昔ながらの庶民の町並みが残り、“貧富の差”も大きいと感じました。 平均年齢は日本より15歳ほど若い約30歳。町は子どもや若い人たちがいっぱいで、高齢化と少子化が進む日本とは大きく違うなと、活気と熱気を感じました。
警備にもインドネシア流を感じました。両陛下がお泊まり所のホテルに入るときは、ものものしい警備でしたが、一旦入られたら規制は解除され、外では日常の生活がごく普通に行われていました。
こちらは同じ場所で私が撮った、夜のホテル前の様子です。若い人たちが集まるスポットになっていて、みな座り込んで話に熱中していました。ものを食べている人もいます。他の国ならお泊まり所の前は排除されるでしょうが、インドネシアはのんびりした雰囲気でした。
こちらは両陛下が供花をされたカリバタ英雄墓地です。私たちは一般の人と並んで広い通りを挟んだ場所から取材していましたが、両陛下が拝礼されている間も、普通に車が通っていましたし、通りを挟んで一般の人もその様子を見ることができました。 こうした取材を通じて、インドネシアの警備は“面”ではなく、“点”を固めるピンポイントの警備と感じました。警備に当たる警察官から、たとえば手を合わせて数歩下がってもらえないかとお願いされたり、また一緒に写真を撮ってくれとスマホを向ける警察官もいたり、非常にフレンドリーな感じでした。
■“サプライズ”だった大統領のカート運転と植物園のスピーチ交換
宮殿での歓迎式典のあと、ジョコ大統領自身がカートを運転して隣接する植物園に行かれた場面はまさに“サプライズ”でした。 植物園に行くことは前日に知らされ、当日の朝の情報では、大統領の警護官がカートを運転するとのことでしたので、大統領がハンドルを握るシーンには「えっ?」と驚きました。 さらに驚いたのは、宮殿から植物園までおよそ15分間、両陛下や大統領夫妻の様子が途切れることなく撮影されていたことです。カメラは前からカートをずっと捉え、にこやかな様子がよく伝わってきました。 ――皆さんの物理的な距離が近いということもあるのかもしれませんが、和やかで柔らかい雰囲気がよくわかります。 大統領は「とても緊張した」と話していましたが、そこにも“おもてなしの心”を感じました。カートの正面に日本のヤマハのロゴが見えましたので、日本製で案内する気遣いもあったのかなと思いました。